「日本の漁業では小さな魚を獲らない」はウソ…? 世界の中で日本の水産業だけ「一人負け」となった"本当の理由"

世界では水産業は成長産業になっています。一方で魚が減り続けて年々衰退していく日本。その悪影響は全国に及んでいます。背景には、いつからか魚の資源について国内外で起きていることが、正しく伝えられていないことがあります。
上の写真は、ともに昔のニシンの水揚げ現場です。左がノルウェー(1950年代)で、右が日本(おそらく同時期)。そして半世紀以上が経ち、資源管理の違いで水産業で繁栄を続ける国と、衰退が続く国となり、運命が大きく変わってしまいました。
絶好調のノルウェーと衰退する日本
ノルウェーの水産業は絶好調が続いています。一方、衰退の一途をたどっているのが、かつて「ニシン御殿」で栄えた日本です。皮肉なことに、ノルウェーで大西洋ニシンの資源が乱獲から回復した背景には理由がありました。それは、かつて日本の北海道で起きたニシン資源の枯渇という悲劇を教訓として、早期の禁漁措置に舵を取ったからでした。
筆者は国際会議でニシンについて講演した際に、当時担当したという科学者から直接言われ、とても驚きました。
この連載をはじめてから来月で3年目。この連載は、当時発信がしにくい環境に置かれていたためにお断りしていたのですが、熱心なご依頼があって始めました。今では誰かが「魚が減っていく本当の理由」を伝え続けなければならない、という気概のもとに続けています。
筆者は30年以上にわたり、ほぼ毎年ノルウェーをはじめとする世界の水産現場の最前線に足を運んできました。そして交渉や検品・生産指導などを行いビジネスを通じ、数多くの水産関係者と話をしてきました。
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