そして筆者が堪能しているシルクロードのロマンをぶった切るように、否応なく視界に入ってくるのが警察の方々だ。抑止力として姿を見せているのかもしれないが、民族音楽が流れ、民族衣装の女性たちが歩く歩行者天国で、異質感がすごい。
巨大なバザールは、大通りを挟んで複数の区画に分かれている。通りをわたって別の区画に入ろうとしたら、再び荷物検査、ボディチェック。
巨大なフードコートには、羊の肉、焼き魚など新疆ウイグルのご当地グルメが並ぶ。羊肉串や焼き魚をほおばる観光客のそばで、警察官2人がピンと背筋を伸ばし警戒している。




新疆は20年ほど前までは、「中央アジアと東アジアを結ぶ、シルクロードの要所にあるエキゾチックなエリア」とのイメージを持たれていたと記憶している。
筆者が中国に住んでいた2010年前後、小学生の息子が「中国にはメロンだらけの村があるんだって。行ってみたい」と言い出した。調べたら、新疆にあるマスクメロン(哈密瓜)の産地「哈密(ハミ)」のことだった。検索するとメロンでつくられたアーチをくぐる子どもたちの写真が表示され、「お菓子の家みたい」と親子でわくわくした。
そんな少数民族の独特の文化と豊かな自然を擁する新疆は、昔から民族的な問題を抱えており、2009年のウルムチでの争乱、そして2014年、2015年の爆発事件によって、欧米や日本において中国共産党の強権と矛盾を象徴するネガティブなイメージがついて回るようになった。
中国人にとっては異国情緒漂う観光地としての顔も健在なのだが、これだけの厳戒態勢を目の当たりにすると、いやでも不穏さを感じてしまう。
背後から近づくロボット犬
通りをぶらぶら歩いていると、背後からガシャン、ガシャンと音がするので振り向いたら、カメラを搭載した大きなロボット犬がこっちに向かって来ていた。うぉおおお、これは監視ロボットの進化系なのか?

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