《ミドルのための実践的戦略思考》マイケル・ポーターの『競争の戦略』で読み解く部品営業担当者の悩み
(このフレームワークに限らずですが)こうやってフレームワークを使って考えることの最大のポイントは、「目に見えないものが見えるようになる」ということです。つまり、我々が日常のビジネスに没頭している限りにおいて、たとえば新規参入や、代替品の脅威などは、現実に何か起きるまではあまり目に映ってきません。競合の脅威、もしくは社内手続きなど、目の前の大きな脅威に心を奪われて、広い視点で見ることを忘れてしまいます。我々の身の回りには、視野を狭める引力が強烈に働いているのです。
だからこそ、こういった「広い視点で俯瞰する」フレームワークを使って無理矢理視界を広げるのです。それによって、今までは全く見えてこなかった潜在的な脅威が顕在化される前に「見える」ようになるのです。
ポーターの「5つの力」は、我々の日常でも戦略を考える入り口として、非常に使い勝手の良い強力なツールです。以下に当該書籍を紹介しておきますので、読んでいない人は是非、一度手に取ってみてください(原典は『競争の戦略』になりますが、かなり厚く高額のため、初学者の方は『競争戦略論I』、もしくは『Harvard Business Review2011年6月号 マイケル・E・ポーター 戦略と競争優位』をお薦めします。
次回はクレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』を取り上げます。
■参考文献:
『競争の戦略』
マイケル・E・ポーター著, 土岐坤, 服部照夫, 中辻万治訳 ダイヤモンド社
『競争優位の戦略』
マイケル・E・ポーター著, 土岐坤訳 ダイヤモンド社
『競争戦略論I』
マイケル・E・ポーター著, 竹内弘高訳 ダイヤモンド社
『Harvard Business Review2011年6月号 マイケル・E・ポーター 戦略と競争優位』
ダイヤモンド社
荒木博行(あらき・ひろゆき)
慶応大学法学部卒業。スイスIMD BOTプログラム修了。住友商事(株)を経て、グロービスに入社。グロービスでは、企業向けのコンサルティング、及びマネジャーとして組織を統括する役目を担う。その後、グロービス経営研究所にて、講師のマネジメントや経営教育に関するコンテンツ作成を行う。現在は、グロービス経営大学院におけるカリキュラム全般の統括をするとともに、戦略ファカルティ・グループにおいて、経営戦略領域におけるリサーチやケース作成などを行う。講師としては、大学院や企業内研修において、経営戦略領域を中心に担当するとともに、クリティカル・ シンキング、ビジネス・ファシリテーションなどの思考系科目なども幅広く担当する。
Twitter:http://twitter.com/#!/hiroyuki_araki
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