大手が率先「賞与の給与化」は年収の安定化にあらず? 企業の真の狙いに“従業員格差”は拡大へ

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「よくわかりません。人事部門としては、硬直化した賞与を何とかしたいという強い思いはありますが、昨今の物価高騰を受けて月給だけでなく賞与についても安定支給を求める社員の声が強まっています。綱引きの結果、どういう風に転ぶんでしょうかね」(小売り)

では、賞与の給与化は、会社員にとって吉報でしょうか、凶報でしょうか。影響はかなり複雑です。

一般に賞与は年によって変動が大きいのに対し、月給はほぼ固定額が支払われるので、単純に賞与が月給に置き換わるだけなら、会社員の年収は安定します。報酬の安定を求めている会社員にとっては、吉報です。

損する社員はどういう人?

ただ、多くの会社は賞与を給与に置き換えるだけでなく、その後を見据えて、一本化された給与の額を評価によって変動させる成果主義や年俸制への移行を想定しています。もし成果主義や年俸制に移行したら、安定的な賞与があったときと比べて年収が不安定になり、凶報です。

しかし、すべての会社員にとって凶報になるとは限りません。能力も意欲も高く、働きに見合った高い報酬を得たいという会社員にとっては、収入増のチャンスになり、吉報と言えます。

日本の会社員の報酬や働き方を変える可能性のある賞与の給与化の動向をしっかりウォッチする必要がありそうです。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。
Facebook:https://www.facebook.com/takeshi.hioki.10
公式サイト:https://www.hioki-takeshi.com/
 

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