大手が率先「賞与の給与化」は年収の安定化にあらず? 企業の真の狙いに“従業員格差”は拡大へ

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しかし、経営環境が激しく変化する時代に、会社の業績や社員の働きぶりに関係なく賞与を安定支給するというのは、会社側にとって合理的ではありません。多くの企業が、硬直化・固定費化した賞与を改革したいと考え、賞与の給与化に取り組んでいるわけです。

「まだ賞与の一部を給与に振り替えるだけですが、事実上固定給となっている賞与を全面廃止し、給与に一本化したいと思います。さらに、社員の評価によって年収が決まる年俸制を導入し、給料を全面的に変動費化することが、最終的な目標です」(化学)

日本企業への幅広い浸透はまだ未知数

では、賞与の給与化の動きは、どこまで日本企業に広がっていくのでしょうか。「かなり広がる」「あまり広がらない」「わからない」という3つの意見が拮抗しました。それぞれの代表的なコメントを紹介します。

「かなり広がるでしょう。働いても働かなくても決まった賞与を支払うという甘い会社では、この厳しい時代を生き残れません。賞与を廃止し、年俸制に一本化する会社が増えてくると予想します。少なくとも『基本給何カ月分』という賞与の決め方は、なくなると思います」(IT)

「あまり広がらないでしょう。他社のことはわかりませんが、当社のような地方のメーカーの場合、月給も賞与も安定支給を望む社員が断然多いという印象です。組合が強く抵抗すると予想されますし」(素材)

「あまり広がらないでしょう。賞与は業績が悪化したら支給しなくても済みますが、月給はどんなことがあっても支給しなくてはいけませんし、いったん賃上げしたら下げられません。経営者は、業績悪化に備えて何らかのバッファーを持っておきたいはずです」(精密)

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