大手が率先「賞与の給与化」は年収の安定化にあらず? 企業の真の狙いに“従業員格差”は拡大へ

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次に、2番目に多かった「実施に向けて検討中」という回答から。

「来年からの実施に向けて、近く労働組合と協議に入ります。組合は実施に反対で、協議は難航が予想されます。当社の組合はさほど強硬姿勢というわけではありませんが、バッサリと賞与を廃止するというのは難しそうです」(エネルギー)

一方、最も多かったのが「検討していない・未定」という回答。ここでは、正式には検討していないものの実施に強い意欲を示す声が多数ありました。

「具体的な検討には入っていませんが、将来的にはぜひ実施したいと考えています。まずは人事部門内の意見集約を始めようとしているところです。人事部門として喫緊の課題だと考えています」(商社)

このように、顕在化した「賞与の給与化」の動きは限られますが、多くの企業が実施に向けて強い関心・意欲を持っていることは間違いなさそうです。

最終的な狙いは年俸制への移行?

このように、人事部門関係者の間で「賞与の給与化」への関心が高まっているのは、なぜでしょうか?

短期的に人事部門が期待するのは、新卒採用や若手の中途採用での効果です。

「やはり初任給を上げないと、優秀な人材を採用できません。ただ、ない袖は振れないので、賞与を削って月給に回そうということです。ソニーさんとか他社の狙いはわかりませんが、当社の場合は、完全に採用対策の朝三暮四ですね」(金融)

一方、多くの人事部門関係者が長期的な狙いとして、「硬直化・固定化した賞与のあり方を根本的に変えたい」(商社・精密・倉庫・通信など)と訴えていました。

(出所)日本経済団体連合会「2024年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」
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