「あそこの串カツ田中、潰れたのか…え、そんな店に変わったの!?」 串カツ田中“跡地“に出現した「高級とんかつ店」の正体

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それは、とんかつを出す合間にちょいちょい挟まれた“演出”だ。それらが「体験価値」であるとしてこの値段を付けているのだろう。

料理の質だけでなく、体験型の演出で価値を上げる

最近は単に食べるだけではない、体験型の演出を加えた飲食店が人気になっている。

その代表格がハンバーグだ。最近は体験型の演出を交えたハンバーグ店が人気で「劇場型ハンバーグ」なんて呼ばれていたりする。お客の目の前でハンバーグを焼いたり、いくつもの調味料で自由に味変が楽しめたり、ごはんを羽釜や土鍋で炊いたり、目の前で熱々の鉄板にソースをじゅわっ!とかけたり……舌だけでなく、目や耳、鼻など五感で体験できる付加価値のあるハンバーグ店が人気を博し、増えている。

ハンバーグ以外でも、最近の飲食店で体験型の演出は多い。客席でスタッフが仕上げを行うパフォーマンス付きのメニューも増えている。炉端焼きや鉄板焼きなど、目の前で調理のライブ感を見せるような業態も人気だ。

ハンバーグ店の仕上げ焼きの様子
北関東の「フライングガーデン」や静岡の「さわやか」といったローカルチェーンのハンバーグ店も、お客の目の前で仕上げ焼きを行う。この体験こそ人気の秘密だ(筆者撮影) 

こうしたパフォーマンスがあることで商品に原価以上の価格を上乗せすることが可能になる。

食材原価が高騰する昨今、飲食店は原価以外の部分で価値を付けて利益を確保しようと、こうした手法を取り入れることが多くなっている。消費者としても物価高騰の中でわざわざ割高な外食に行くなら、家ではできない外食ならではの体験を強く求めるようになっている。

おそらく「厚とん」に挟まれる演出も、この「劇場型ハンバーグ」をはじめとした体験型の付加価値を意識しているのではないだろうか。

ただし「厚とん」の致命的な点は、この体験を楽しむための下地ができておらず、人気店がやっている演出をかたちだけ真似したものになっているのが残念な点だと感じた。

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