「血を流さない、静かなクーデター」を進めるトランプ大統領、その政策と"明治維新"の奇妙な共通点
国防次官とはペンタゴンでナンバー3。しかし長官と副長官は国防問題の素人、つまり、コルビーが実質的にアメリカの次の国防政策を決めるキーパーソンになる。
彼は「これまでウクライナ支援にむけてきた(アメリカの武器、資金などの)資源を台湾防衛のために振り向ける」と言った。
台湾の『自由時報』(24年12月24日)は「美國準國防次長柯伯吉 主張將烏戰資源轉向台灣」として大きく報道した(美國は米国、柯伯吉はコルビー、烏はウクライナ)。
「公武合体論(民主党との呉越同舟)」を拒否
おおまかに明治維新という大改革の過程をかえりみると、幕末の議論の大勢は公武合体だった。
この中和的な穏健路線を薩長は強引に倒幕へと舵を切り替えた。微調整を積み重ねる穏健路線が公武合体だったとすれば、共和党内の「公武合体」論者はつねに民主党とも妥協を探るRINO(名前だけ共和党員=ブッシュ、ペンスらが代表する嘗ての共和党主流派)、倒幕派がトランプの共和党だ。
幕末に全国を席巻した「廃仏毀釈」はキャンセルカルチャーへの反撃となる。外来の信仰を退けるのはトランプがLGBTQの行き過ぎを批判していること、また左派が唱える女性の権利としての中絶は各州に任せるとしている。
トランプはWOKEに理解のある軍高官を馘首しトランスジェンダー兵士1万5000を軍から追い出した。戦えない軍を世界最強の軍に復活させる改革だ。
ペンタゴンの人事には人種配慮優先ではなく能力主義を基軸に、中国の追い上げ激しいハイテク武器の開発を総点検する。
廃藩置県はイーロン・マスクが率いた「政府効率化省」で、官僚制度の肥大化に鋭角的なメスを入れた。法律的権限はないから日本の有識者会議に匹敵するが、あたかも既存組織のように動き出した。メドがつき、イーロン・マスクは政権を去った。
地租改正に匹敵するのが所得減税と貿易輸入品への高関税適用政策だろう。
かくしてトランプ政権には未経験の乱暴者たち、別の言葉でいうと「まっしぐらに走る人々」が執行部を握った。
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