「血を流さない、静かなクーデター」を進めるトランプ大統領、その政策と"明治維新"の奇妙な共通点

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トランプの政策の基本にあるのはグローバリズムへの激烈な敵対姿勢であり、ネオコン人脈を政権から追放し、既存のエスタブリッシュメントとの本格的な戦争である。

欧米の左翼メディアが定義する「極右」とは国益を優先させ、グローバリズムは妖しいと主張する、まっとうな政治家たちだが、これらを「まっとうではない」メディアが執拗に大声で糾弾してきた。保守台頭がよほど癪に障さわるからだ。

最大の目標は「世界一の軍」を維持すること

トランプ大統領が指名したヘグセス国防長官は、まずペンタゴンの人事に着手し、WOKE運動に理解を示したミリー陸軍大将らを解任した。明治維新政府が江戸幕府高官をばっさばっさと切り捨てたように。

軍は綱紀が弛緩し、女性が戦闘前線に配置され、あるいは潜水艦、戦車に乗り込むことになって、戦闘力が劇的に失われた。このままLGBTQ文化が軍内に浸透すれば、米軍は戦えない軍となってモラルは地に落ちてしまうだろう。

トランプのMAGA(アメリカを再び偉大に)は「世界一の軍」を維持することにある。明治維新の立役者らが掲げた第一目標は富国強兵だった。

WOKEは軍内にもジェンダーをこえた戦闘配置となって生え抜きの白人エリートの出世がさまたげられ、軍人一家は子供たちを軍へおくらなくなった。そのうえ軍人の「自殺」が増えていた。

ベトナム戦争、アフガニスタン戦争の帰還兵が精神的トラウマに陥り、麻薬に手を出したり、挙げ句に自殺したりするケースが多く報告されたが、近年は米軍の直接的な戦闘がないから自殺は減るはずだろう。

逆だった。2023年に予備役、州兵を含む軍人の523人が自殺した。22年は493人だった。綱紀粛正、モラル再建が急がれる所以である。

国防方針としてはウクライナ重視をやめ、台湾防衛にシフトする兆候がある。

トランプは国防次官にエルブリッジ・コルビー元国務次官補代理を指名した。彼は日本の防衛費は3%にあげろと主張するタカ派だとばかり、日本のメディアは大袈裟に報じているが、大事な点を伝えていない。

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