「血を流さない、静かなクーデター」を進めるトランプ大統領、その政策と"明治維新"の奇妙な共通点

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富国強兵、廃藩置県、国家神道、地租改正、秩禄処分などの大なたが振るわれたように軍高官からWOKE(意識の高い政治目標)派を粛清、政府効率化省(DOGE)の設置、所得減税、LGBTQ排除のための教育省解体、暗号通貨の国家備蓄などである。

次にグローバリズムを隠れ蓑にして左翼が進めてきたDEI(多様性、公平性、包括性)、SDGs(持続可能な開発目標)、ESG(環境、社会、ガバナンス)などの妖しげな、左翼への利益誘導型の諸政策を抜本的にやりなおす。

教育省は手始めに55名の高官を停職処分、ついで左翼の金庫元でもあったUSAID(米国国際開発庁)廃止へむけ、当面の予算執行を停止させた。

「エスタブリッシュメント」との本格的な戦争

そして「暗号通貨を国家の資産とする」という宣言だ。

ネオコンは政権から去ったが、議会にメディアに、そして社会の末端に、まだディープステートの残党がいる。

ディープステートとは「闇の政権」と言われるが、公然たるエスタブリッシュメントのこと、現状維持の守旧派と呼び変えてもよい。かれらとトランプはいかに闘うか。

トランプが狙うのは保守回帰と言われた「レーガン保守革命」の焼き直し程度のものではない。もっと大胆なコペルニクス的転回を企図している。

これまでトランプが唱えてきたのは①不法移民強制送還には軍も動員する、②司法の政治武器化を許さない、③政府効率化 小さな政府をめざす、④高関税 貿易の保護により国内産業の再活性化、とくにエネルギー開発の規制緩和。石油・ガス増産、⑤教育省解体、⑥「ビットコイン大国」などが目玉である。

外交ではロシアとの関係改善、ウクライナとイスラエルの戦争停戦。第3次世界大戦回避、中国への徹底的な敵視、NATOとの亀裂は放置、パリ協定とWHO(世界保健機関)から離脱、イランとの核合意を再度白紙化、金正恩との4回目の首脳会談なども「想定内」である。

就任式前にはパナマ運河を奪回し、グリーンランドを地政学的な安全保障の重要性から購入すると言いだし、あげくはカナダの合邦、カナダ首相は「アメリカ51番目の州知事」と放言した。

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