これから9月までに「株・債券・為替」の日本大暴落がやってくるかもしれない「4つの理由」

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では、一流牝馬はどうするのか? 誰に売るのか? という疑問が出てくるだろう。答えは「売らない」のである。一流繁殖牝馬ほど大事なものはない。生産牧場にとっては、至宝、誰にも渡したくない、金(カネ)には代えられないものなのだ。だから、ほとんどの牧場は、超良血で牝馬が生まれたら、絶対手放さず、手元で育てるのだ。牡馬は、投資を回収するために高く売り、牝馬は宝にする、ということなのだ。

例えば、千代田牧場のチヨダマサコ。トウショウ牧場のソシアルバターフライ。これが牝馬の上場が少ない2つ目の理由だ。

本当にいいものは、マーケットには出てこない

では、ノーザンや社台はそれでもなぜ両親がともにG1馬などという超良血の1歳牝馬を上場してしまうのか? それは、彼らは大生産者すぎて、繁殖牝馬は、数としては余ってしまっているからである。どんなに超良血馬でも、同じ配合の牝馬ばかりになってしまっては、偏りが大きくなり、長期的には多様性を失い、活力が低下する。だから、良血でも何頭か手元に残せば、同じ母親の仔である馬はどんどん売ってしまうのである。

それゆえ、もし、至宝となる牝馬が上場されれば、とんでもない価格になる。実際、セレクトセールの史上最高値は、2006年の当歳馬セールで落札された牝馬のディナシー(6億円)であり、この馬は、生まれて間もなく6億円で買われたものの、結局一度も出走しないまま競走馬を引退し(競走馬にならず)、繁殖に上がった。もともと繁殖用に落札されたのだ。世界的にも、昨年4月、オーストラリアの名牝ウィンクス1歳牝馬が1000万豪ドル(約10億円)で落札された。

今週のレッスンは、本当にいいものは、マーケットには出てこない、大切なものは、オークションで匿名の相手に売ったりすることなどないものだ、ということだ。市場とは、余りものを取引する場なのである。コメもスーパーで買わずに、知り合いの農家さんからサブスクしている小幡家である。

さて、週末のレースは、13日に福島競馬場で行われる七夕賞(G3、芝コース距離2000メートル)。

かんべえさん(双日総合研究所・チーフエコノミスト吉崎達彦氏)の大好きなレースであり、予想の権利を譲りたいところだが、本命サイドなら、断然格上のドゥラドーレスか、連勝中で絶好調のシリウスコルトか。彼は、千代田牧場生産、飯田正剛オーナーだから、今回の記事にはピッタリか。大穴なら、地元福島出身田辺裕信騎手のニシノレヴナント。

※ 次回の筆者はかんべえ(双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦)さんで、掲載は7月19日(土)の予定です。当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています。

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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