そうなると、仕掛ける側としては円を売り浴びせやすくなる。このような身動きが取れない状況での政策決定会合は、毎回、利上げするにせよ、しないにせよ、タカ派かハト派、少なくともどちらか一方からの攻撃を受けることになる。仕掛ける側にとっては、そのときの相場の雰囲気で何度でもチャンスがあるから、余裕をもって仕掛けられる。
アメリカのFRBは、もっと危ない状況だ。トランプ大統領が露骨に利下げ介入、人事介入する姿勢を見せている。介入した瞬間、ドル売り、米国債売りが仕掛けられるだろう。
さらに悪いことに、ハト派でもタカ派でもない、トランプ大統領に媚びる「孔雀派」が執行部、ボードメンバーに出てきてしまっている。これは組織が内部崩壊する典型的なパターンだ。
この場合は、ドル売り、米国債売りで、ユーロ高となるだろうが、日本は、日本国債が米国債に合わせて売り込まれ、これとセットで円も売り込まれるだろう。ドルと円が世界最弱通貨1位と2位になる。この数カ月、すでにそうなっているが、さらにはっきりするだろう。このように、暴落のきっかけとなるイベントの候補がこれだけあれば、どれかは爆発する。
マグマが十分にたまってしまった
【理由2】4つのうち2つ目の理由は、火がついたら爆発するマグマが十分にたまっていることだ。すなわち、市場環境が暴落のおぜん立てを整えてしまったのだ。株価は上がり切った。あとは下がるしかない。
トランプ大統領の就任前よりも、現在のほうが、経済状態がいいという理由はない。それにもかかわらず、株価は、2月以降のトランプショックの反動で、むしろ高くなってしまっている。これはどこかで調整される。
また、ロジックから言っても、いいとこ取りをしている。トランプ関税は結局かからない。トランプはTACOだ(やる度胸がない)。一方、減税法案に対する財源は関税で賄うということで、財政懸念は後退している。さらに、FRBへの人事介入で、市場は大幅利下げを織り込んでいる。
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