しかし、FRBへの人事介入というショックには目をつぶっている。それが起きた瞬間には、ドルも米国債も信認を失い暴落するはずだ。
欧州も、ドイツの国防費増加をきっかけに財政緊縮主義の放棄を歓迎しているが、それは、結局軍事支出であるということは、長期的には地政学リスクによる経済、社会の悪化で、むしろ経済にもマイナスである。そのうえ、財政拡大で金利上昇だけが残る。財政負担がどこかでくる。欧州は、多様な国の集まりだから、弱いところが必ずあり、財政は攻められることになる。
つまり、株式も債券も世界的な暴落が起こる準備を完了したのが現在の市場の状態だということだ。
日本ももちろん同じで、株価は上がりすぎ、財政懸念は、以前よりも多くの債券投資家がリスクと認識している。暴落の準備は着々と整えられているのである。
そこへ、第1の理由で述べたきっかけのうちのどれかが火をつける。その火が大災害となる燃料を現在のマーケットは溜め込んでいるということだ。
「日本売りの条件」がそろった
【理由3】理由の3つめは、日本売りの条件が、大局的にもそろったということだ。これは21世紀に入ってからは初めてのことだ。この25年、日本売りが囁かれながらも、実現しなかったのは、この大局条件がそろっていなかったからだ。
その大局的な条件とは以下の2つだ。まず、政治家も国民も投資家も、円高ではなく、「円安」を恐れるようになったということだ。やっと「普通の」国になったのである。
円安によるインフレ、物価対策が唯一最大の選挙の争点だ。そして、日本にネガティブなニュースが出れば、投資家も円売り、国債売りでまず反応し、それが株安を呼ぶのが当然のスパイラル的下落となっている。円安なら株高、ということはもはやまったく成立しない。
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