JR東海リニア「静岡以外」で工事遅れる本当の理由 2027年以降の完成は84工区中31工区に及ぶ
ただ、工事契約が締結された2017年と現在では状況が異なる。作業員は不足し、工事費用は高騰している。10年という工期は変わってくるかもしれない。JR東海は「南アルプストンネルの工事は全線の中で最も難易度が高い工事のひとつであり、トンネル掘削工事を進めて地質を把握する中で、より高い確度で工期の見通しを立てることができると考えている」と説明する。新たな開業時期が発表されるのはもう少し先になりそうだ。
静岡工区以外の工区については契約済みの工区延長は全体の約9割、用地取得率は約85%、発生土活用先の確定状況は約80%だという。これらの数字だけ見れば順調に思われる。
多くの工区で「工期見直し」
一方で、工期が2027年を超える工事も増えている。5月に契約締結された第二大井トンネル(岐阜県)の工事完了時期は2030年3月。また来年1〜3月に入札が予定されている山王川橋梁(山梨県)の工期は5年8カ月。来年4〜6月に入札が予定されている旧利根川橋梁(山梨県)の工期は5年7カ月。いずれも2027年を大幅に超えている。
着工済みの工区も工期を延長する事例が増えてきた。例えば長野県内のトンネル、橋梁、高架橋、駅など13の工区は2026年2月から2027年3月にかけて相次いで完成する予定だったが、2028年冬頃から2031年冬頃への完成へと大幅に延期された。これ以外に完成時期が示されていない工区もある。岐阜県内でも岐阜県駅の完成時期が2031年12月に変更された。

JR東海によれば、7月4日時点では、品川―名古屋間の工事契約済または発注見通しを公表した工区数は84工区あるが、完成時期が2027年を超えることを公表した工区は31工区あるという。JR東海は「工区ごとに事情は異なるが、主には地元の協議を丁寧に実施する
また、JR東海は「一部の未契約の区間については工区分けの仕方が決まっていないことなどから、全体の工区数はまだ決まっていない」としており、これらの工区が具体化すると、全体の工区数が84から増えるとともに2027年以降に工事が完了する工区の数も31から増える可能性がある。「具体的な数字については今後も変わっていくので、あく
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