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静岡・川勝知事が抵抗する「リニア」の現在地 「27年開業」は絶望的、歩み寄る余地はあるのか

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静岡県知事が認めないリニア工事。本当に前に進むか、予断を許さない。

リニア実験線を走行するリニアモーターカー
リニアの2027年開業はもはや絶望的となっている(山梨県リニア実験線)(写真:JR東海)

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JR東海のリニア中央新幹線は静岡工区の着工のメドが立たず、計画していた東京─名古屋の2027年開業は事実上、不可能となっている。いつ開業か見通しさえ立っていない。

リニアは東京・品川駅から名古屋駅までを最短の約40分で結ぶため、山梨県、静岡県、長野県にわたる南アルプス山岳地帯25キロメートルを地下トンネルで貫通する。

南アルプス山岳地帯は、糸魚川静岡構造線と中央構造線が通る、世界最大級の断層地帯。破砕された脆弱な地層が多く、大量の突発湧水がどこで生じるかわからず、不確実性の高い地域だ。現地で調査ボーリングを重ね、慎重に工事を進めなければならない。

着工をかたくなに認めない川勝知事

静岡県の川勝平太知事は静岡工区8.9キロメートル区間の着工をかたくなに認めていない。

静岡工区のトンネルは地下約400メートルで、大井川本流と支流の6カ所を通過する。大深度の地下であっても、トンネルの建設には河川の通過に当たって河川法の占用許可が必要。だが河川管理者の川勝知事は、100キロメートル以上も離れた大井川の下流域の利水に支障があると懸念し、占用許可を認めない方針を堅持している。

河川法の許可権限をバックに、水環境だけでなく、南アルプスの自然環境全体に及ぼす影響にまで議論を広げ、事業者のJR東海に解決策を求めているのだ。

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