【ロールス・ロイス史上、もっともパワフルなブラック・バッジ】「スペクター」「ゴースト・シリーズⅡ」「カリナン・シリーズⅡ」の共通点
その瞬間からTFT液晶3連メーター左側の「パワーリザーブメーター」のデジタル針は0%近くに張りついたまま、100km/hを大きく超えても、次のパイロンは見えてこない。全開からおよそ11.18秒後、162km/hを示した時点で次のパイロンを通過した。

複数の曲率で構成された複合コーナーをクリアするため右に、左にハンドルを切り込む。2900kgの車両重量と、前(305N・m)、後(595N・m)のツインモーターが生み出す巨大なトルク値を前に、おっかなびっくりになりながら、舵角を深めては止め、戻して走る。打ち解けたとはいえ、5600万円だ。
クリアしてみれば杞憂だった。ハンドルを通じたロードインフォメーションは舵角が深くなっても正確。エアサスペンションも適度なダイアゴナルロールを許しながら、ゆったりとしたシートがここぞとばかり、ドライバーや乗員をしっかり包み込む。
限界点にさしかかったときの走り

もっとも、それはタイヤの摩擦円を超えない範囲での話だから、速度を落とさず舵角を深めていけば限界点にさしかかる。そこで黒子の出番だ。まずは緩く出力を絞りはじめ、それに連動して4輪のブレーキに独立制御を介入させて、これまた緩い制動力を立ち上げる。さらにハンドルの舵角からドライバーの意図を読み取り、最終的にヨー慣性モーメントを減少させるヨーレート制御で曲がりやすくする。
これはいわゆる義務化されて久しい「ESC/横滑り抑制装置」ではなく、ブレーキベクタリング的な運転支援機能で、多くの自動車メーカーではスポーツモデルを中心に採用しているが、ロールス・ロイスが搭載するには意味がある。
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