【ロールス・ロイス史上、もっともパワフルなブラック・バッジ】「スペクター」「ゴースト・シリーズⅡ」「カリナン・シリーズⅡ」の共通点

迎えた2度目の800m直線路。彼は「同じくパイロンで停止して、ハンドル左側のインフィニティ(無限)ボタンを押してください」と一言。違うのは、ちょっとニヤッと笑みをこぼした彼の顔だ。言われるままにボタンを押下して「インフィニティ・モード」に変更する。このモードでは、これまで適度な“いなし”を持った加減速制御から一転し、俊敏な反応に変わるという。ちょっと乱暴にいえばスポーツモード的に特性が変化するわけだ。
ブラック・バッジの本気、スピリテッド・モード

さらにインフィニティ・モードの状態で、ブレーキペダルを強く踏み込みながらアクセルペダルを全開にすると、「スピリテッド・モード」が発動する。スピリテッド(活発で、勇敢な)モードでは、前後ツインモーターの最大トルク値が1075N・mまで上昇し発進時からの加速度を高め、アクセルペダルを離すまでそのモードを継続させる。
ここでも安易にスポーツモードと表現しないあたりがロールス・ロイスだ。スピリテッド・モードでは、停止状態から100km/hまで4.3秒で到達する。繰り返しになるがブラック・バッジ・スペクターの車両重量は2900kgだ。

「そうか4.3秒ね」と高を括り、踏み込んだ両方のペダルからブレーキのみをリリースする。その瞬間、ノーマルモードとは明らかに異なる力強い加速を開始した。ただし「テスラ」のインセインモードやプレイドモードのような暴力的な加速感とは違い、乗員の首をすわりに配慮した躍度(連続する加速度)で速度を乗せる。スピリテッド・モードの加速感はぜひ、YouTube動画で確認いただきたい。
【YouTube動画】西村直人の「乗り物見聞録」|【 ロールスロイス ブラックバッジ スペクター ゴーストシリーズⅡ カリナンシリーズⅡ オフロード試乗も! 】
スピリテッド・モードでは1周目と同じ距離を10.23秒、180km/hで走りきった。約8%早く到達し、約10%速度のノリが良くなったことになるが、その数字は単独で存在してもロールス・ロイスにとって意味はなく、乗員は平常心をたもったまま、時間短縮できることに意味がある。
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