「怖いくらい人が来なかった」…上野まで8分、知る人ぞ知る「長屋が残る街」。多くの個人店が廃業、チェーン店に変わった街の“実情”

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1000円前後のランチセットから、生ハムのパニーノとカフェラテの組み合わせを選んだ(1120円)。パンの香ばしさと、生ハム、モッツァレラチーズ、トマトたちの相性がとてもいい。

この店には日を空けて2回訪れたのだが、両日とも地元の高齢者がやはりパニーノを食べていた。それがとてもおいしそうだったので、私も思わず注文したのだった。

生まれも育ちも町屋の店主に話を聞くと…

BARMAN CAFE
「BARMAN CAFE」外観(筆者撮影)
BARMAN CAFE
「BARMAN CAFE」店主の水戸さん。バリスタとしての腕は相当なもの(筆者撮影)

杖をついて帰っていくお客さんのために、店のドアを開けて見送る店主の水戸さんは、生まれも育ちも町屋だ。

「この店は今年で4年目です。町屋は近くに荒川自然公園なんかもあって、緑の多い場所なんですよ。古くから住んでいる人が多いから、高齢化が進んでいるけど、その分、なんと言ったらいいのかな、落ち着いた、のんびりした街ですね」(水戸さん)

いつかは地元で店を開きたいと、長くバリスタの修行をしていたというだけあって、ラテアートの腕はたしかだ。もちろん味もいい。

「交通の便がいい割には家賃も手頃なので、住むにはいい街だと思いますよ。高齢化は進んでいるけど、最近は若い夫婦なども増えていますね。

あと、このあたりは昔の木造長屋が残っているってこともあって、防災にはかなり敏感なんですよね。だから住民同士で助け合うための催しとかも定期的に開かれたりしているので、住民同士の交流もわりと盛んですね」(水戸さん)

「街の活気」とは何だろう。人の数なのか、店のにぎわいなのか。あるいは、すれ違いざまに交わされる挨拶なのか。今の私にはたしかなことは言えないけれど、町屋を歩いていると、「活気」そのものの捉え方が変わってきているように感じたのであった。

【もっと読む】タワマン増殖で「西日すら当たらない」と嘆く旧住民たちの"現実" 中央区「勝どき」から失われたものはこんなにもあった では、タワマンによって激変した街・勝どきを、街に詳しいライターのライター末並俊司さんが探訪。地元住民への取材を通じて、タワマンによって生じた変化についてリポートしている。
末並 俊司 ライター

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すえなみ・しゅんじ / Shunji Suenami

福岡県生まれ。93年日本大学芸術学部を卒業後、テレビ番組制作会社に所属。09年からライターとして活動開始。両親の自宅介護をキッカケに介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)修了。現在、『週刊ポスト』を中心として取材・執筆を行っている。

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