【合計342歳】79歳、83歳、89歳、91歳の四姉妹で守る《まるで実家のような》創業70年の喫茶店──“思いつき”で始めた店がみんなの居場所になるまで
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兵庫港近くで四姉妹が営む「思いつき」を訪ねました(筆者撮影)
昭和の時代に数多く生まれた個人経営の喫茶店も、時代の流れとともに減りつつあります。
けれど――喫茶店に漂う独特の心地よい空気感は、そこで過ごした人々の記憶の中に今も静かに残り続けます。誰にとっても、心に残る思い出の喫茶店があるのではないでしょうか。
そんな喫茶店を愛する一人のライター・コトリスが、一杯のコーヒーをきっかけにマスターの人生や常連客の思い出など、店の背景にある物語をたどっていく本連載。街の喫茶店に息づく「人と店の物語」を記録していきます。
第2回は兵庫港近くで四姉妹が営む「思いつき」を訪ねました。(全5回)
おばあちゃんの家みたいな喫茶店
JR神戸駅から幹線道路沿いを南に進むと、住宅街と町工場が混在する西出町にたどり着く。
目と鼻の先には兵庫港があり、小さな造船所が岸壁に沿って立ち並んでいる。
潮の香りがかすかに鼻をくすぐるこの閑静な一角に、「喫茶思いつき」は控えめにたたずんでいた。今年、2025年に創業70年を迎える喫茶店だ。

内装は船大工が手掛けた。窓際のテーブルとベンチシートは壁に引っ付いている(筆者撮影)
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