まるで奴隷?コンビニ「FC問題」の深すぎる闇 本部と加盟店、どこに不公平が生じている?
――契約以外では、どんな問題があるのか?
フランチャイズ契約をしようとする者と本部との間には、情報量に圧倒的な差があります。要するに、フランチャイズ契約は、素人がプロに仕事のノウハウを有償で提供してもらうというものです。だからこそ、判例では、圧倒的な情報量の差があるフランチャイズ本部には、契約締結時に「情報提供義務がある」と認められました。しかし、実際は契約締結までに正確かつ必要な情報提供がなされていません。
――どのような情報が提供されていないのか?
たとえば、商圏調査(出店地域の市場調査)で、フランチャイズ本部がどれくらい売り上げや利益を見込んだかどうか、あるいは条件が類似する近隣店舗がどれくらい売り上げているか、などの情報です。
もっと悪質?飲食店のケース
――勤めている会社をやめて、「一国一城」のコンビニオーナーになろうという人も多いというが……。
フランチャイズ本部の加盟店になるということは、そのチェーンに組み込まれるわけで、結局独立できるわけではありません。とくに、コンビニは契約の縛りが厳しいです。そして、「本部の指導に従え」「指示に従ってこそ儲かるんだ」ということを刷り込まれる。どんなに儲かっていなくても、本部から言われるがままという状態に陥っています。
そして、赤字で生活費も出ないため、オーナー自身が、たとえば毎日14時間、365日休みなく奴隷のように働いている状況が生まれているのです。
――飲食店のフランチャイズチェーンの状況はどうか?
まず、飲食店業界自体に厳しい競争があると思います。みんなお金がないから、外食費を削りますよね。そのため、低価格路線となり、一番弱い従業員にしわ寄せがいく構造があります。つまり、人件費が犠牲になっています。賃金未払いなど、違法行為も起きているようです。
――今年9月には、飲食店チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」のフランチャイズ加盟店の労働問題が大きな話題になった。もし加盟店で、給料の未払いなどの問題が起きたら、誰が責任をとるべきか?
法形式的には、加盟店が責任をとることになるでしょう。
たとえば、多角的にいろんなフランチャイズ加盟店を経営している「メガフランチャイジー」や他の事業を行っている比較的大きな企業であれば、それなりにロイヤリティの交渉力があり、経営していく資本があるといえるでしょう。そんなところで、給料の未払いが起きた場合、基本的にはその加盟店側が解決すべきです。
一方、個人経営の加盟店であれば、フランチャイズ本部が責任を持って、きちんとした労働環境を確保できるようなビジネスモデルにすべきという考え方もできます。すなわち、フランチャイズ本部は、ロイヤリティを取得するとしても、加盟店の経営が成り立つような割合にする責任を負うということです。