トム・クルーズが「日本の母」と慕う”字幕翻訳家” 戦時下で「英語禁止」、デビューまで「20年」・・・ 《レジェンド・戸田奈津子さん》の生き方

――このたび旭日小綬章を受章されたということで、今のお気持ちはいかがですか?
正直、なんで私がいただくんですか? という戸惑いのほうが大きいですね。わたしはただ好きなことをやってきただけですから。それで、なんでそんなご褒美をいただけたのかしらと戸惑っています。
――やはり“好きなことをやり続けた”ということも大きいのでは?
それは当たり前のことですよ。たったひとつの人生なんだから、好きなことをやったほうがいい。わたしは最初からこれをやりたかったし、幸いにも今まで続けることができた。それはラッキーだったと思います。
”英語禁止”の戦時下でも夢をあきらめなかった
――くしくも今年は戦後80年ですが、戦時下では外国の文化も、英語も禁止されてきました。そんな中で、英語の道を志すのは並大抵のことではなかったかと思うのですが。
自分が生まれた時代というのはどうしようもない。その中で自分の好きなことをやればいいと思うんです。確かに戦争中は「ABC」も使えなくなって、世の中から英語が完全に消されていきました。
そこから少しずつ実力をつけていくしかなかった。もちろん失敗もいろいろありましたよ。今は何でもありますけど、わたしの若い頃なんて、食べ物さえなかったし、何にもなかった。その中で自分の“欲望”、ゴールを目指してさえいれば、なんだって頑張れると思いますよ。
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