トム・クルーズが「日本の母」と慕う”字幕翻訳家” 戦時下で「英語禁止」、デビューまで「20年」・・・ 《レジェンド・戸田奈津子さん》の生き方

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トム・クルーズと戸田奈津子
5月6日に東京都庁で行われた『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』ジャパンプレミアイベントにて。吹き替え声優の森川智之、トム・クルーズと撮影する戸田奈津子さん(中央)(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.
これまで50年以上にわたって、1500本以上の映画字幕を担当してきた字幕翻訳家・戸田奈津子。
近年も、トム・クルーズ主演『トップガン マーヴェリック』『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』、フランシス・フォード・コッポラ監督の『メガロポリス』を担当するなど、現役の字幕翻訳家として活躍している。
最近も、2025年の「春の叙勲」受章者として、旭日小綬章を受章したことが発表されたばかり。字幕翻訳家として50年以上のキャリアを誇る彼女に、自身の仕事観と半生について聞いた。

――このたび旭日小綬章を受章されたということで、今のお気持ちはいかがですか?

正直、なんで私がいただくんですか? という戸惑いのほうが大きいですね。わたしはただ好きなことをやってきただけですから。それで、なんでそんなご褒美をいただけたのかしらと戸惑っています。

――やはり“好きなことをやり続けた”ということも大きいのでは?

それは当たり前のことですよ。たったひとつの人生なんだから、好きなことをやったほうがいい。わたしは最初からこれをやりたかったし、幸いにも今まで続けることができた。それはラッキーだったと思います。

”英語禁止”の戦時下でも夢をあきらめなかった

――くしくも今年は戦後80年ですが、戦時下では外国の文化も、英語も禁止されてきました。そんな中で、英語の道を志すのは並大抵のことではなかったかと思うのですが。

自分が生まれた時代というのはどうしようもない。その中で自分の好きなことをやればいいと思うんです。確かに戦争中は「ABC」も使えなくなって、世の中から英語が完全に消されていきました。

そこから少しずつ実力をつけていくしかなかった。もちろん失敗もいろいろありましたよ。今は何でもありますけど、わたしの若い頃なんて、食べ物さえなかったし、何にもなかった。その中で自分の“欲望”、ゴールを目指してさえいれば、なんだって頑張れると思いますよ。

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