トム・クルーズが「日本の母」と慕う”字幕翻訳家” 戦時下で「英語禁止」、デビューまで「20年」・・・ 《レジェンド・戸田奈津子さん》の生き方
――ちなみに、巨匠・コッポラ監督の新作『メガロポリス』も戸田さんが字幕を担当されています。何か変化を感じる部分はありましたか?
変わらないですよ、あの人は。いつも、とんでもないゴールを目指して120%で走っている。成功とか失敗とか、結果にはあまり興味がない。
去年、プライベートで来日されたときにも「この映画は、誰も見たことのないタイプの映画だ」とおっしゃっていた。あれだけの実績を作ってきた人が、それでもまだ「誰も見たことのない映画を作る」って言うんだからすごいですよ。
そのときに「未知に挑戦することが、自分が自由であるという証しだ」とも言っていたんですが、それも劇中にセリフとして何遍も繰り返し出てきます。まさにこれが彼が自由であることを象徴しているんです。

戸田さんが語る”巨匠・コッポラ監督”のすごさ
――まさにコッポラ監督の『地獄の黙示録』もそうでしたし、失敗作と言われた『ワン・フロム・ザ・ハート』もそうでしたが、とにかく“映画を作る“という欲望に忠実であるように思うのですが。
そうです。あれだってある意味、“未知”に挑戦した作品だった。今回の映画もそう。しかも今回は自分のお金(自身のワイナリーを売却して調達した資金)で作っているわけでしょ? 会社が口出ししてくるわけでもなく、1億2000万ドル(約186億円)も投じている。
アーティストってそういうものなんです。どんなに貧乏であっても、音楽が書きたい。映画が撮りたい。みんなそうですよ。

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