【生ける伝説】フランシス・フォード・コッポラ監督 『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』華々しいキャリアの一方、自己破産もした激動人生

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コッポラ監督
映画界の生ける伝説であるフランシス・フォード・コッポラ監督に直撃し、映画づくりに対する尽きぬ情熱、“お金”に対する思いなどを聞いた© 2024 CAESAR FILM LLCALL RIGHTS RESERVED
映画界の生ける伝説、フランシス・フォード・コッポラ監督(86)。『ゴッドファーザー』『ゴッドファーザー PART II』などでアカデミー賞を7回受賞し、『カンバセーション…盗聴…』『地獄の黙示録』でカンヌ映画祭の最高賞にあたるパルム・ドールを受賞するなど、華々しい経歴を誇る。
その一方で、スタジオの倒産、幾度の自己破産など、多くのトラブルにも見舞われてきた。それでも映画への情熱は途切れることなく、86歳となった今、新作『メガロポリス』を完成させた。6月20日より全国公開されている。
本作は、富裕層と貧困層の格差が激しいアメリカ共和国の大都市・ニューローマが舞台。天才建築家カエサル・カティリナがさまざまな困難に直面しながらも、すべての人がしあわせに過ごせる理想社会“メガロポリス”の開発に挑む姿を描き出した一大叙事詩だ。
構想は40年という長きにわたるが、幾度となく中断を余儀なくされ、資金調達も不調。コッポラ監督の過去作同様、本プロジェクトも順調には進まなかった。そんな中、自身が所有するワイナリーの一部を売却し、ハリウッドの大作並みの製作費である1億2000万ドル(約186億円)もの資金を捻出。まさに執念でつくり出した1本となる。
そんな巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督にインタビューを敢行し、映画づくりに対する尽きぬ情熱、“お金”に対する思いなどを聞いた。

――コッポラ監督は本作制作の意図を、「アメリカは共和制ローマの再来である。そこで古代ローマを模倣した現代のニューヨークを舞台としたローマ叙事詩を描きたかった」と語っています。

わたしは人生の中で多くのローマの叙事詩を見てきた。『スパルタカス』や『ベン・ハー』など、さまざまな作品があったが、自分だったらそれをどういう風に撮るかなと考えた。

そもそもアメリカは王国ではなくて共和制を選んでいる。そのうえでローマの法律を取り入れ、それを土台にして上院議会などが築かれていった。そして古代ローマも結局共和制を失ったわけだが、アメリカを舞台に同じ事を描いてはどうかと思ったわけだ。ただ、今日の政治がこれほどまでに現実味を帯びてくるとは思いもしなかったが。

父は作曲家で裕福な家庭ではなかった

――インタビューで「お金は大事ではない」と話していましたが、コッポラ監督の映画人生にはお金の苦労話がつきものでした。コッポラ監督はお金とどう付き合っているのでしょうか?

私の家庭は中流と言えるかもしれないが、あまり裕福ではなかった。うちの父(作曲家のカーマイン・コッポラ)は非常に優れたクラシックの演奏家だったが、いろいろとキャリアを変えようとしていく中で、お金がない時期もあった。だからわたしがある程度、お金に余裕を感じるようになったのは『ゴッドファーザー』の後のこと。これでやっと家族に楽をさせることができるなと思った。

でも「お金が大事ではない」と言った真意は、やはり制作資金を調達できずに、自分の財産をつぎ込んだことにある。わたし自身はお金持ちになりたい、ということを目標としていない。

今、わたしは86歳だが、これをやっておけばよかったと後悔するのではなく、今も常にこれをやらねばということをやるようにしている。だから『地獄の黙示録』を撮らねばならないと思ったし、『ワン・フロム・ザ・ハート』を撮らねばならないと思った。

“やれなかった”ではなく“やらねば”ということに力点を置いているし、お金はそのためにあるものだと思っている。

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