巨額赤字・シャープをどう再建するのか 奥田隆司・新社長に聞く
--シャープは新興国で白物家電を売る戦略を進めている。すでに韓国サムスン電子や中国ハイアールなど大手も参入している激戦区だが、シャープの差別化要素とは?
われわれは意図的に付加価値をつけている。たとえばインドネシアでは白物家電を展開しているが、プラズマクラスターというオンリーワン技術を搭載した商品を積極展開することにこだわっている。インドでもボトムの商品を投入するのではなく、オンリーワン商品を展開している。液晶テレビでも大型テレビを意図的に投入しないと、ボトムから入るとシャープがそこにいなくても変わらない。新興国のマーケットはこれから大きなスピードで伸びていくので、現時点のメーカー別シェアといったポジショニングは関係ない。
それ以外ではBtoBも多く手掛けており、太陽光発電のビジネスもやっている。バランスに優れた海外事業を展開できるのがシャープの取り柄かなと思う。プラズマクラスターなどシャープが国内で展開している販促手法は、海外でも通用すると思っているので深くミックスマッチしながらやっていきたい。
--海外を攻める上でシャープの事業規模を考えると、大手ライバルからは見劣りする。他社と提携する可能性は。
オンリーワン商品で利益を創造するモデルと、回転率で勝負するコモディティの2ついの世界がある。同じビジネスモデルでは成り立たないので、グローバルで戦える仕組みを作るべく、事業戦略の中でこれから考えていきたい。
--奥田氏は海外経験が豊富だが、今の日本でいかにグローバル人材を育成していくと考えているか。
日本人はグローバルでなく、グローカルにならなければならない。地場に溶け込む人材を育成することが重要だ。シャープでは、若手社員が新興国地域で1年間仕事しながら、現地語を勉強するシステムをスタートさせている。たとえば現地で1日400~500円で生活することも若い人には必要だと思う。外国人登用も積極化したいと個人的には考えている。