巨額赤字・シャープをどう再建するのか 奥田隆司・新社長に聞く
4月1日付で、シャープは経営陣を一新する。新社長には奥田隆司・常務執行役員(58)が就任し、片山幹雄社長は代表権のない会長に退く。
国内の家電市場が縮小する中、シャープは海外経験が豊富な奥田氏に再成長を託す。奥田氏は1997年からマレーシアでグローバル調達の仕組みを手掛けた後、テレビ事業部長に就任。亀山工場で垂直統合モデルを立ち上げた後、再び海外調達兼海外事業部長としてインドやブラジルといった戦略市場の開拓を進めてきた。
今年で創業100周年を迎えるシャープを、奥田新社長はどのように導いていくのか。戦略を聞いた。
--3月14日の就任会見以後、心境の変化はあったか?
ますます肩の荷が重いと感じている。しかし会見で「現場主義」を掲げたことに対し、若い社員からメールが届いて一段とやる気がわいてきた。家族からは全面サポートするという、力強い言葉をもらっている。家内はもともとシャープの社員で、よく会社を知っており理解度が速く、安心している。
--奥田新体制では、シャープをどういう会社にしていきたいか。
シャープという会社は、特徴的な商品を作りながら、新しい市場を創造することで、皆さんの生活を豊かにして社会に貢献する会社と思っている。
今のシャープは、顧客目線が足りないと感じている。もっとマーケットインに対する活動や、優秀な人材配置を考える必要がある。ハンコをたくさん並べて意思決定のスピードが遅れないように、海外事業では現地に権限委譲し、現地完結型のバリューチェーンの仕組みをいかに作り上げていくなど、これから仕組みを変えていきたい。