【東京都で21人搬送】「自分は大丈夫」が命取りに!梅雨の合間や梅雨明けも油断してはいけない熱中症リスク《医師が解説》

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高齢者だけでなく、比較的若くても心疾患、腎疾患、糖尿病などの持病がある人、β遮断薬、利尿薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などを服用中の方も高リスク群に含まれます。

これらの薬を服用している場合は、脱水や体温調節障害が起きやすいため、心配な場合は医師と対策を前もって相談しておくとよいでしょう。

また、築年数の古い建物や断熱性の低い木造住宅に住む方も要注意です。

特に断熱材が不十分な住宅では、適度にエアコンを使わなければ、室内温度が外気温とほぼ同じになって、夜間の室温が高止まりしてしまうこともあり、家の中にいても必ずしも安全とはいえません。

「自分は若いから」「健康だから」「慣れているから」という思い込みこそが、最も危険な落とし穴なのです。

実際、熱中症で搬送される人のなかには、「まさか自分が」と驚く人が少なくありません。この正常化バイアスを乗り越えることが、効果的な熱中症対策の第一歩となります。

熱中症の発症メカニズム

熱中症がなぜ起こるのか、そのメカニズムを正しく理解することも重要です。

人体は通常、発汗や血管の拡張、水を飲んだり日陰で休んだりなどの行動調整によって、体温を一定に保っています。しかし、外気温の急激な上昇、高湿度、通気の悪さなどが重なると、体温を調節する機能が破綻してしまいます。

熱中症は段階的に進行します。

初期段階ではめまいやふらつき、軽度の倦怠感から始まり、進行すると筋肉のけいれんや激しい頭痛、吐き気が表れます。重篤化すると、40℃を超える高体温と意識障害に至ります。この状態で適切な冷却処置が行われない場合、数分で生命の危険に陥ることもあります。

重要なのは、熱中症の影響はこうした一時的な急性症状だけにとどまらないということです。

研究によれば、熱中症は心不全、腎疾患、喘息、精神疾患などの慢性疾患を悪化させることが明らかになっています。また、妊娠中の女性では早産のリスクが高まり、精神的な影響として自殺リスクの増加も報告されています。

こうした影響は猛暑日だけで起こるわけではありません。

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