【東京都で21人搬送】「自分は大丈夫」が命取りに!梅雨の合間や梅雨明けも油断してはいけない熱中症リスク《医師が解説》

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

拡大

初夏のやや暑い日でも、まだ暑さに慣れていない体には知らず知らずのうちに負担がかかっています。梅雨の合間や梅雨明け直後の急激な気温上昇時期は特に注意が必要で、体が暑さに順応する前に症状が表れることが多いのです。

気温以外の要因も見逃せません。

まず、湿度が高いと汗の蒸発が妨げられ、体温調節が困難になります。また、風がない環境や直射日光の当たる場所、アスファルトやコンクリートからの輻射(ふくしゃ)熱なども、体温を大幅に押し上げる要因となります。同じ都市内でも、緑の多い地域とアスファルトに囲まれた地域では、5℃近い気温差が生じることがあります。

「喉が渇いてから」では遅い

熱中症は予防可能な疾患です。対策のカギは「症状が出る前に行動する」ことです。

喉が渇いてから水を飲むのでは遅すぎます。30~60分ごとに100~200mLずつ、1日1.5~2Lを目安に、こまめな水分補給を心がけましょう。

大量に汗をかく場合、失われるのは水分だけではありません。ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質も同時に失われるため、水だけの補給では不十分です。スポーツドリンクや経口補水液、塩タブレットなどを活用し、電解質のバランスも保つことが重要です。

とはいえ、スポーツドリンクは糖分も多く含むため飲みすぎは禁物で、糖尿病の方は特に注意が必要です。 また、塩タブレットも摂りすぎるとナトリウム過多になるので、高血圧や心不全などを悪化させることもあり、持病をお持ちの方は気を付けてください。

涼しい時期から暑さに慣れておく「暑熱順化」も重要な対策の1つです。週2~3回の軽い運動で汗をかく習慣をつけることで、体を徐々に暑さに慣らすことができます。

初期症状への対応も覚えておきましょう。

めまい、吐き気、筋肉のけいれん、異常な発汗や発汗の停止などを感じたら、即座に涼しい場所へ移動し、首、わきの下、足の付け根などの太い血管が通る部分を冷却してください。「気のせい」「まだ大丈夫」と思わず、速やかに対処することが重症化を防ぎます。

環境づくりも欠かせません。

エアコンは今やぜいたく品ではなく、命を守る手段として考えるべきです。特に熱帯夜のときは温度を26~28℃に保ち、節約のためにタイマーで切らず、朝までつけっぱなしが理想的です。電気代を気にして健康を害しては本末転倒です。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事