「同意なき買収」を巡って難しい立ち位置に立たされているメガバンクグループのジレンマとは?

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その一つが、センサー大手の芝浦電子の争奪戦だ。台湾の電子部品メーカー、ヤゲオが同意なきTOB(株式公開買い付け)に打って出たのに対して、芝浦のホワイトナイト(友好的買収者)として名乗りを上げたベアリング大手ミネベアミツミが対抗TOBを実施。価格引き上げ競争が展開されている。

M&Aでは、買収側と売却・防衛側がそれぞれ企業価値の算定や資産査定、交渉戦略などに通じた財務アドバイザー(FA)を雇う。今回、ヤゲオのFAとして攻める側に付いたのはMUFG傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)だ。

MUMSSは、2021年にスーパー大手オーケーが関西スーパーマーケット(現・関西フードマーケット)に同意なきTOBを実施した際にFAを務めた前例がある。今回異例の展開となっているのはMUFG傘下の三菱UFJ銀行が芝浦電子側に付いたことだ。

ファイアウオールの限界

芝浦とミネベアは5月1日、芝浦の大株主9社がミネベアのTOBに応じる契約を結んだと公表。9社には取引先企業のほか、明治安田生命保険、埼玉りそな銀行などと並んで三菱UFJ銀も名を連ね、同行が保有する芝浦株2.82%の売却方針が明らかになった。

三菱UFJ銀が芝浦・ミネベア陣営側に立ったことで、同じ金融グループ内で銀行と証券会社が正反対の陣営にくみする構図となった。

もともと銀行と証券会社との間では金融商品取引法の銀証ファイアウオール(FW)規制が敷かれており、情報を遮断する体制は保たれている。だが、FW規制とは別にグループ内で銀行と証券会社、あるいは銀行内でも、競合する顧客との取引を同時に行う場合は、常にビジネス上の利益相反という難題に直面する。

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