「訪日客が9割の店もある」牛カツチェーンの京都勝牛。日本人客が"ごく一部"になっても社長が「それでええ」と言い切る深いワケ

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インバウンド向け、国内向けは業態から分ける

立地が集中する京都の店舗に訪れる客は、9割がインバウンドだ。偶然ではない。インバウンド立地の店に関しては、はっきりと「インバウンドを狙った」戦略をとっている。

「インバウンドと日本の客向けの店、どちらかです。共存はありえません。インバウンドと国内客では食に対する価値感が違うからです。選択と集中。思いきってインバウンドに特化する。それぐらいの覚悟で業態を変える必要があります」

1杯2000円のラーメンで満足する人と、それを高いと感じる人の違いは大きい。中途半端なスタンスだと客も迷ってしまう。日本人向けの店で、「インバウンドもとりたい」戦略が見えたら、「いやらしい」と感じて日本人客も離れてしまう。

それなら、ラーメン1杯2000円と、1杯1000円の店を分けたほうがいい。そして、それぞれの単価に合わせて、満足度と付加価値も変えるそうだ。

黒壁に赤い提灯が映える、寺町京極店の店内(写真提供:ゴリップ)

実際、京都勝牛は立地ごと、エリアごとでメニューを分けており、その種類は10数パターンに及ぶ。参考にしたのは、航空券やホテル料金と同じ考え方だ。繁忙期は高く、閑散期は安く。立地によってもメニュー価格を変えている。

たとえば、インバウンドなど1人4000円近く使う客が多い京都市内や空港などは、高品質で高単価なメニューを増やした「観光立地メニュー」に。外国語が堪能なスタッフも配置している。

他方、ご近所の人が普段着で訪れるようなフードコートは、気軽に食べられる価格設定に。客単価は半額以下に抑えている。

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