「訪日客が9割の店もある」牛カツチェーンの京都勝牛。日本人客が"ごく一部"になっても社長が「それでええ」と言い切る深いワケ

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加えて、目新しさもある。「とんかつ、ラーメンは食べたことがあるけど牛カツってなんなんだ?」と店に入ってみると、トンカツとはひと味違うおいしさ。「これは日本食の新スタイルだ」と認識してファンになる人が後を絶たないそうだ。

繊細かつジューシーな味わいがインバウンドに人気の高い、黒毛和牛サーロインカツ京玉膳。だしに温泉卵を浮かべた「京玉」も名物の1つ(写真提供:ゴリップ)
2.「京都」の強さ

ブランド名にも京都というキーワードを入れるなど、京都勝牛はゴリップ発祥の地である「京都」をかなり意識してブランドを作っている。京都はロンドン、ニューヨーク、パリに匹敵する「ビューティフルな街」として世界に知られており、憧れの眼差しで見られるエリアだからだ。

「国内でも京都出身です、といったら取引先の方の反応が変わったことが何度もあります。京都発祥の会社というプライドもあります」

「京都」の強みを生かすために、さまざまな工夫もしている。たとえば食材の使い方も、京の懐石や割烹をイメージして「だし」を前面に。定食の付け合わせを赤だしにしているのをはじめ、牛カツに添える調味料には、だししょうゆ、だしをベースにしたカレーつけ汁を織り交ぜた。同じく添えられている山椒塩も、京都名産の山椒にこだわっている。

店内も、和傘、舞妓さんの名前入りうちわを飾ったり、提灯風の照明にするなど、京の風情が感じられる空間を演出。インバウンドにはフォトスポットとしても喜ばれている。

提灯のような照明が京情緒たっぷりの寺町京極店(写真提供:ゴリップ)
3.黒毛和牛

京都勝牛では黒毛和牛のメニューも選べる。黒毛和牛は海外で広く知られており、これを目当てに来日する、血統にまで詳しい人も多いのだそうだ。

その集客力は非常に高く、「黒毛和牛は日本の宝です」と洪社長は感謝を述べる。だからこそ、しっかり食肉業者と話し合い、品質に間違いのない肉を仕入れているのだ。

もともとインバウンドは意識していなかった

と、ここまでインバウンドに人気の理由を解説してもらったが、

「とはいえ、最初はインバウンドは意識していなかったんですよね」

と洪社長が意外なことを言い出した。まずは国内で牛カツを認知してもらい、そのあと海外を攻めようか……と思っていたそうだ。

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