そのような客層が訪れているであろう証拠もある。11時開店が基本だった営業時間を、インバウンドの流れがある立地は10時半開店にしたところ、売り上げが10~15%伸びたのだ。
インバウンドのVIPはたいていラグジュアリーホテルに泊まっており、朝ご飯はブッフェが付いているが、若者たちはドミトリーやゲストハウスなど素泊まりが中心だ。だから朝その時間に訪れるインバウンドは、この若年層が中心だと推測している。
一方、国内客で多いのは、「自分へのご褒美で食べる」需要だ。
牛肉がどんどん高騰する今、価格的に「日常食」にはなりえないが、「家族でおでかけして、ちょっと背伸びした高いものを味わいたい日」など、ハレの日需要のシーンで受け入れられているのだ。

徒歩圏内の「超近隣店」が成立する理由
現在、国内に64店舗展開する京都勝牛。実は、そのうち9店舗が京都市内、それも半径2キロ以内に集中している。一番近い店は200m離れていない、目と鼻の距離だ。「近い場所に店をつくらない」飲食チェーンのセオリーからすれば驚きである。
「あんな近くでよう全部行列しますなあ」と京都いけずをいわれることもあるそうだが、「京都の街を知り尽くしていれば簡単なことです。あと3店舗くらいは出店できますよ」と洪社長は涼しい顔だ。
なぜなら、よく「碁盤の目」と称される京都の街は、縦、横、それぞれの筋で歩く目的地がまったく違う。ビジネス、観光、買い物……たとえ隣の筋であったとしても、そこにいる人の目的は異なるのだ。
京都で生まれ育った洪社長は、それを身にしみて理解している。だからこそ集中出店でも異なる人の流れをつくり、行列にできる。
京都にはまだまだポテンシャルを感じているそうで、2025年4月には、京都・嵐山にも新店がオープンしている。

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