
間もなく3回目の日米関税交渉が行われる。赤沢亮正経済財政・再生担当相がこの週末にワシントンに乗り込む。
「英国式融和姿勢」でサミット時に大筋合意できるか?
ところが、アメリカ側のカウンターパートであるスコット・ベッセント財務長官は欠席であり、ジェミソン・グリアUSTR(アメリカ通商代表部)代表とハワード・ラトニック商務長官がお相手となりそうだ。どうやらアメリカ側は超多忙状態。なにしろ多くの国と同時並行で、関税交渉をやらねばならない。体がいくつあっても足りない状態であるとお察しする。
この間に英国との交渉は5月8日に大筋合意に達し、中国との間では5月12日にアッと驚く追加関税の大幅引き下げが決まった。90日間の暫定措置とはいえ、いちばんの難物に小康状態が訪れた意義は大きい。もっともそれを見て、インドが一転して報復関税をちらつかせ始めた。EUやカナダも対抗措置を準備しており、トランプ関税をめぐる大国間の丁々発止はなおも続きそうだ。
そんな中で日本政府は、英国方式の融和姿勢でアメリカからそれなりの譲歩を引き出し、早期の収束を図りたい。6月15~17日に控えているG7カナナスキスサミット(カナダ・アルバータ州)では、石破茂首相とドナルド・トランプ大統領の間で日米首脳会談が行われる。できれば、そこで「大筋合意」にこぎつけたい。ちなみに6月14日はトランプ大統領の誕生日もある。7月9日には相互関税の「国別上乗せ分」が復活してしまうので、それまでに交渉を終わらせたいのである。
逆にアメリカ側はというと、彼らも「日本では7月下旬に参議院選挙がある」ことは承知している。与党が大敗したら、石破政権がどうなるかはまったくわからなくなる。従って、先方としても対日交渉はなるべく早く済ませたい。参院選後は野党をも巻き込んで、「もしタマ」「もしノダ」何でもありの政界再編ゲームが始まるかもしれないのだ。
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