介護施設の場合も同様だ。
「受け入れ先の介護施設が手取り足取り片付けの手配をしていることもあります。だいたいのケースで費用は住人が払うことになるのですが、払えない場合は介護施設の職員が片付けることもあります。そうしないと入居できませんから。なんとかしたいという思いはありますが、私たちもボランティアではないのでできないこともあります。歯がゆい思いをすることは多いですね」

実家じまいは「前向きなもの」である

半日がかりで片付けは完了し、実家は空っぽになった。その広さに驚いている長女の様子からもやはり、かなりの物量だったことがうかがえる。
「母は買い物が好きで、どこかへ出掛けたら店の人に対して“何か買ってあげないといけない”という気持ちになってしまうような人でした。やっぱり時代でしょうかね。モノの多さ=豊かさの象徴という風潮もあったんだと思います。
帰る場所がなくなるというのは寂しいです。でも、年老いた両親の姿を見ると、そんなことを言っている場合ではないですね」

実家じまいが終わったとき、寂しさが込み上げる一方で「肩の荷が下りた」と話す人も多い。しかし、実家がなくなった後も家族の生活は続いていく。
「実家じまいは終わりではなくスタートです」
そう二見氏は言う。実際、この家族も実家じまいをしたことで、離ればなれになっていた家族が再び一緒に暮らすことになったのだ。


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