ミャンマー大地震「利他」の精神で復興図るミャンマーの日系企業、地震から2カ月、マンダレーの日系企業はどう乗り越えようとしているか

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ミャンマー事務所による設計業務は、クライアント各社から高い評価を得ており、現在は機密性の高くない設計業務を中心にミャンマーで対応しています。その品質に対する評価も非常に高く、今後も同様の業務を継続していく予定です。

地震後は一部リモートワークで業務を進めていましたが、電力供給が不安定で、1日当たり4〜8時間程度しか電気が使用できない状況が続いていたため、全社員が対応できるわけではありませんでした。

そのためマンダレーの現地社員を中心に、いち早く業務を再開するために、被害の少ないホテルを見つけ出し、5月上旬には事務所の移転を完了させて業務を再開しています。さらに、一時的に社員を日本に招いて研修を実施する案も検討されています。

「地震直後に送られてきた、事務所の被災状況や被災した社員たちの自宅の写真を見たときには、当分のあいだ復旧は難しいだろうと思いました。ところが、それからわずかな期間で、自分たちの力を合わせて復旧を成し遂げたことに驚かされるとともに、あらためてミャンマーの人々の「生き抜く覚悟」を強く実感しました」(内山社長)

日・ミャンマー組み合わせた運営体制を強化・拡大

豊橋設計では、今後ますます国内の人材採用が困難になることが予想される中、ミャンマー事務所との連携を継続しつつ、日本国内での就業機会も組み合わせたハイブリッドな運営体制の強化・拡大を図っていく方針です。

ミャンマーでは、2020年3月下旬より厳格な新型コロナウイルス感染症対策が取られ、長期にわたるロックダウンが続きました。ようやく状況が落ち着きかけた2021年2月1日、軍部によるクーデターが発生。以降、軍と反対勢力の間で各地に戦火が広がり、2024年2月には突如として徴兵制が発表されるなど、社会不安はさらに深刻化しています。

企業の撤退や事業縮小が相次ぎ、経済は深刻な低迷に直面。先の見えない状況の中で、多くのミャンマー人が国を離れる選択を迫られています。

このような厳しい現実の中で、明るい兆しすら見えない今、唯一の希望として語られているのが、「ミャンマー人の利他の精神」です。

地震直後、マンダレーなどの被災地に取材で向かった関係者によると、ヤンゴンから車で現地に向かう途中、すでに多くの一般市民が寄付を届けるために車で殺到し、大渋滞が発生していたそうです。

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