ミャンマー大地震「利他」の精神で復興図るミャンマーの日系企業、地震から2カ月、マンダレーの日系企業はどう乗り越えようとしているか

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豊橋設計では約3カ月に1度、日本から担当者や内山社長らがミャンマーを訪問しています。現地訪問時には、社員の自宅を訪れる家庭訪問のほか、社員旅行や食事会を積極的に実施するなど、人と人とのつながりを大切にした関係づくりを継続してきました。

日本本社においても離職率は非常に低く、日本人社員に対しても1人ひとりの性格や状況に応じた丁寧な対応を重視しています。とくに若手社員を中心に、定期的な食事会や個別相談の機会を設けるなど働きやすい職場づくりに力を入れています。内山社長はこう語ります。

「働きやすさを第1に考え、社員の悩みを気軽に相談できる場をつくることを大切にしてきました。そうした取り組みが、日本人・ミャンマー人といった国籍に関係なく、社員が長く働いてくれる理由の1つかもしれません。社員1人ひとりが“会社への想い”を持てること、私はそこを何より重視しています」

マンダレーに現法を設置した理由

Myanmar Toyohashiは、2022年に事務所をヤンゴンからマンダレーへ移転しました。そのきっかけとなったのは、ミャンマーを代表する技術大学であるマンダレー工科大学(TUM)から、在校生を対象に機械CAD技術の習得を支援する教育プログラムを受託したことでした。

このプログラムでは、豊橋設計が持つ高い技術力を活かし、eラーニングを中心としたカリキュラムを通じて、ミャンマー人エンジニアの育成を行っています。

マンダレー移転の背景には、他にも複数の要因がありました。まず、社員の多くがマンダレー出身であったこと。そして、進出当初ヤンゴンでは日系のIT企業や設計会社が少なく競争も限定的でしたが、2016年のアウン・サン・スー・チー政権の誕生以降、民政移管とともに外資系企業の進出が加速し、ヤンゴンでは家賃の高騰や優秀な人材の獲得競争が始まりました。

一方、マンダレーはまだ外資系企業の進出が少なく、家賃も比較的安価で、地元には素直で素朴な気質を持つ人材が多く残っていました。こうした環境が、人材の安定的な確保と、育成に集中できる土壌となると判断し、事業拠点をマンダレーに移す決断に至りました。

今回の大地震では、幸いにも社員に命の危険はありませんでした。しかしながら、自宅が全壊、あるいは半壊や一部損壊といった被害を受けた社員がほとんどでした。

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