ミャンマー大地震「利他」の精神で復興図るミャンマーの日系企業、地震から2カ月、マンダレーの日系企業はどう乗り越えようとしているか

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MDCR社には、ミャンマー国内のコンピュータ大学を卒業した社員が多く在籍しており、比較的裕福な家庭出身の人材も少なくありません。

従来は「やりたい仕事をミャンマー国内で実現したい」と考える社員が多数で、日本での勤務は「経験の場」と考え、2年程度は日本で勤務して顧客の文化・取り組み方を理解しつつ業務スキルを磨き、その知見を生かしミャンマーで業務を進めていくというスキームが一般的でした。

しかし、クーデター以降の経済情勢の悪化により、多くの家庭で家族の失職や収入減といった事態が生じ、社員を取り巻く生活環境は一変しました。経済的な理由で日本に長期滞在し、安定した収入を得たいと考える社員が増加しています。

耐える時期でもミャンマー人社員を支える

さらに近年では、「いずれはミャンマーに戻る」ではなく、「日本での生活を継続したい」と望む社員が主流になりつつあります。

MDCR社がミャンマーへの進出を決めた最大の理由は、国民性の素晴らしさと優秀な人材の多さにありました。

「ミャンマー人の未来を支えていきたい」と語る(左から)MDCRの小林政彦部長と近藤真琴社長 、伊藤紀郎ゼネラルマネージャ(写真・西垣充)

今回の地震でマンダレー事務所は全壊こそ免れたものの、壁にひびが入るなどして建物の使用は困難な状況となりました。加えて、マンダレー市内では光ファイバーが切断されており、通信インフラの復旧の見通しも立っていません。そのため、今後のマンダレー事務所の運営方針については、現時点では未定となっています。

マンダレー支店の社員たちは自らの判断で行動し、業務の継続に努めています。自宅が使用可能な社員はそのまま在宅勤務を続け、被害により住めなくなった社員は、親戚や知人宅に身を寄せて働いています。地震発生から3日目には業務を再開し、1カ月経過した今も継続しています。

このようなマンダレー支店の社員を支援するために、ヤンゴンや日本で勤務しているミャンマー人社員や日本本社、顧客からも多くの義援金が集まり、マンダレーの社員たちを支える動きが広がっています。

「ミャンマーの政治・経済情勢は依然として厳しいですが、優秀な人材が数多く存在するこの国で仕事の場を提供し続けたいと考えています。今は耐える時期かもしれませんが、日本で働く機会を広げるなどして、ミャンマーの人々の未来を支えていきたい」

MDCR社の立ち上げ当初より13年間駐在し、現在は日本本社のグローバルデリバリー部長として勤務する小林政彦さんがこう述べます。MDCRの活用を推進する立場として、今後も引き続きミャンマーとの関わりを深めていくとのことです。

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