ミャンマー大地震「利他」の精神で復興図るミャンマーの日系企業、地震から2カ月、マンダレーの日系企業はどう乗り越えようとしているか
「特別な指示を出さずとも、社員たちはそれぞれが状況を見て判断し、行動してくれた。その判断力と行動力には、本当に驚かされました」と、伊藤氏は当時を振り返ります。

地震発生直後のMDCRのオフィスが入った建物(写真・MDCR提供)
最終的に全社員の安否が確認できたのは、地震発生から3日後のことでした。
「3月28日金曜日の昼に地震が発生し、まず最優先で安否確認に動きましたが、7人ほどとは土日を通じても連絡が取れず、正直なところあきらめかけていたんです。それだけに、ようやく全員の無事が確認できたときは、本当に心の底から安堵しました」と伊藤氏は語ります。
MDCR社は、2008年にミャンマーに進出しました。2025年4月現在、社員数は380人、名古屋市に本社を置く第一コンピュータリソース(MDR)のミャンマー法人として、ヤンゴンとマンダレーの2都市に拠点を構えながら日本企業向けのシステム開発業務を中心に事業を展開しています。
日本行きを希望する社員が増えた
MDCR社は、ミャンマー国内においてコンピュータ大学を卒業した新卒者に対し、IT技術と日本語の両面から徹底した教育・育成を行う企業として広く知られています。朝礼や会議、打ち合わせといった社内でのコミュニケーションはすべて日本語で行われており、教育体制も、ミャンマー人の管理者がリーダーを通じて指導を行う仕組みが整えられています。
日本人の駐在員は在籍しているものの、業務運営の多くは現地スタッフによって完結させており、高い自立性を備えた現地主導型の運営モデルを確立しています。
2008年の設立当初に採用された社員のうち現在も13人が働いており、いずれも管理職として重要な役割を担っています。彼ら1期生を中心に、組織の骨格をつくり上げ、教育システムの基盤を築いてきました。
新型コロナウイルスの感染拡大や軍事クーデターといった困難な状況が続く中にあっても、MDCR社は一貫して事業を継続してきました。2025年度の会社説明会には約400人から応募があり、その中の30人の大学新卒者が、2025年4月に新たに入社しています。
2021年2月1日に発生した軍事クーデターに加え、2024年4月に導入された徴兵制の影響もあり、日本への渡航を希望する社員が増加傾向にあります。
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