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「トランプ関税」はアメリカと世界を殺して終わった、そしてアメリカ社会は、これからさらに荒れることになる

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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しかし、とにかく経済をまわすために、お金をぐるぐる回すためにする景気対策は、失業対策でない限り、経済に、国民の生活に大きくマイナスなのである。

赤字国債だろうが、それを日銀に引き受けさせようが、財政支出1兆円が今日の経済にプラスになるためには、財政支出1兆円の中身が社会にとって1兆円以上の価値がないといけないのである。赤字国債による財政出動は、「今日の」経済にすらマイナスなのである。

英国の経済学者ジョン・メイナード・ケインズの「穴を掘って埋める」というのが経済にとってプラスになるためには、大量失業が解消するということが必要で、通常の状態では(要は1930年代の大恐慌時以外には)成り立たないのである。

 図らずも財政支出の経済学の講義になってしまったが、要は、欧州も実質的には貧しくなる。経済には中長期にマイナスだ。インフレは今は痛いから、今に対してもマイナスだろう。

トランプ騒動でもっと傷ついたのはアメリカ

さらに、アメリカである。トランプ減税は絶対に実現しない。なぜなら、「トランプ100日騒動」で、もっとも傷ついたのはアメリカだからである。

大統領就任後100日間は、有権者とのハネムーン期間と言われるが、われわれ、アメリカ以外の国に住む者たちは、関税に振り回されたが、アメリカの社会は、それ以外のもの、より深刻なものに振り回された。

トランプ関税は、実質無意味にすぎないが、ロシア問題、イスラエル問題では、アメリカ外交の信用を失墜し、中国にチャンスを与えた。そして、アメリカ社会にとっては、社会の破壊が行われた。アメリカ最大のパワーである、ジャーナリズム、学問(大学・研究機関)を破壊してしまった。政府も破壊し、有為の人材は、研究者とともに、アメリカに公的に貢献することを放棄した。

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