「トランプ関税」はアメリカと世界を殺して終わった、そしてアメリカ社会は、これからさらに荒れることになる

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トランプ支持者でなかった人々の怒りを煽り、トランプ支持者たちには、100日間は、トランプが頑張っている、行動しているということでの満足感を与えたが、それが何ももたらさなかったという不満の爆発の瞬間が来るときのガソリン燃料を彼らの内側に充填し続けた。

したがって、今後、トランプ政権が主導する減税などの法案を議会で通すことのできる可能性はなくなったであろう。もともと、トランプ大統領の熱狂的支持者には、直接利益のないどころか、不利益をもたらす富裕層への大減税は、目が覚めた元支持者たちの大きな怒りを買うだろう。株価にプラスの政策は今後、何も実現できなくなっただろう。

「やる気をなくしたトランプ」で、アメリカは荒れる

さらに、最大の問題は、トランプ大統領本人がやる気を失ったことである。トランプ大統領はもはや抜け殻だ。なぜ、関税政策の揺り戻しが起きたかというと、トランプ大統領が思い通りにならず、権力を振り回してもエクスタシーが得られなくなってしまったから、やる気をなくし、側近が主導するようになったからである。

トランプ大統領は、自分の発言の辻褄合わせのために、たまに力なく吠えるだけだ。やる気のないトランプ大統領は、もはや破壊力もないが、これまでの破壊、失点を取り戻すために積極的に動き、それを実現する気力を失った。だから、今後、トランプ政権では何も起きないのである。

何も起きなければ、この100日間の傷が深く残り続けるだけだ。それでいて、あと3年半残っている。やる気のないトランプ大統領に、プラスの要素はゼロだ。トランプ大統領の支持者は、ディープステートという陰謀論の見方は植え付けられたまま、しかし、「支持できた」過去のトランプ大統領もいなくなり、政治的な不満のぶつけ先もなくなった。アメリカ社会は、さらに荒れるだろう。

だから、アメリカは死んだ、のである。やはり、それは、トランプ大統領が殺した、のである(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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