「トランプ関税」はアメリカと世界を殺して終わった、そしてアメリカ社会は、これからさらに荒れることになる

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例えば、日本でいえば、GDP600兆円だとして、防衛費がGDP1%から3%に増加して、12兆円GDPが増えたとしても、すでに完全雇用が実現し、供給制約が効いている日本経済においては、その少なくともインフレ、コスト高として現れるだろう。

すると、インフレ率が例えば1%上がったとすると、実質的なGDPでいえば、雑な計算だが、名目が12兆円増え、インフレで6兆円目減りし、実質6兆円増えることになる。

失業がない状態で財政出動するとインフレ分貧しくなる

しかし、考えてみてほしい。防衛費は必要だとは言え、国民の生活にはプラスにならない。GDP612兆円のうち、地政学的リスクが高まらなかったら必要なかった12兆円が軍事的装備に支払われたのである(おそらく自衛隊職員の数も給料もそれほど増えないだろうから)。

ということは実質的GDP606兆円となったが(インフレ6兆円を引いて)、そのうち12兆円は、国民の生活、豊かさと無関係なものに追加的に支出したわけだから、594兆円が国民の豊かさであり、それは防衛費増加前の600兆円から6兆円減っているのである。12兆円を赤字国債で賄ったとしても、6兆円実質的に、今日、貧しくなるのである。さらに将来から12兆円奪っているわけだから、国民の生活の豊かさ、という観点では18兆円失ったわけである。

こうしたことは、防衛費だけでなく、すべての政府支出、景気対策について言える。失業がない(人手不足の)状態で、財政出動で支出を増やすと、インフレの分、必ず貧しくなるのである。

貧しくならないためには、その政府支出がインフレ分を補って余りあるぐらい、社会に役に立つものでなくてはならない。防衛費は、それに該当する可能性があるから、まだ正当化の余地はある。もともと日本が軍事力不足だという認識に立てば、社会的に価値がある、ということはありうる。

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