山下健二郎、ELLY、白濱亜嵐… LDH俳優部門の躍進を支えた「女性執行役員」波乱万丈の足跡
ところが入社して半年後、近藤さんをよもやの展開が待っていた。突然、風組の担当を降ろされてしまったのだ。
「当時、降板の理由は聞かされていなかったので臆測になるのですが、EXILEなどの男性アーティストや俳優には、当然多くの女性ファンがいます。そこに女性のマネージャーが就くことに嫉妬心を抱くファンもいたので、ファンとの万が一のトラブルを避けるために私を担当から外したのではないでしょうか」
これから風組を売り込もうという矢先に……。入社早々、出鼻をくじかれた近藤さんに新たに割り当てられたのは、6人の女性タレント。オーディション組や他事務所からの移籍組など、いずれも無名のタレントばかりだった。
「近藤はどうやって彼女たちの仕事を増やしたんだ?」
「優先的にブッキングされるEXILEや三代目J SOUL BROTHERSなどのアーティストたちに比べて、彼女たちは必ずしも積極的にプッシュされる対象ではありませんでした。だから、マネージャーの自分がなんとかするしかない、と」
このときに生かされたのが、前職の東宝芸能時代に築いた経験と人脈だった。近藤さんはかつての“主戦場”だった劇場を回り、関係者に所属タレントを売り込んだ。そして、舞台を中心に彼女たちのキャスティングを獲得していった。
もう1つ、東宝芸能時代の経験が生きたのが、タレントたちとのコミュニケーションだ。かつて無名のダンサーたちに接していたのと同様、6人の女性タレントに対しても「どうすれば映画やドラマに出られるのでしょうか?」といった悩みの聞き役に徹した。そうして、厳しい芸能界でくすぶっていたタレントたちの気持ちに寄り添いながら、徐々に彼女たちの信頼を得ていった。
映画やドラマなどと比べると地味なものの、舞台の仕事が安定的に入るようになり、タレントたちのスケジュールカレンダーは黒く塗りつぶされていった。その噂はLDH社内にも徐々に広まっていった。
「近藤はいったい、どうやって彼女たちの仕事を増やしていったんだ……?」
無名だった女性タレントたちのキャスティングを次々と獲得していった、その仕事ぶりがLDH社内でも認められた近藤さん。次に声がかかったのは、宝塚歌劇団出身の女優のマネージャーだった。
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