町田啓太、鈴木伸之、岩田剛典… LDHの俳優陣を支える「女性エージェント」凡事徹底の営業術

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「一方的に俳優を売り込まず、作品全体のことを考えてキャスティングを提案してくれる。だから、僕は近藤さんと仕事するんだよ」

ある動画配信サービスのプロデューサーから、近藤さんはそう言われたという。この言葉に、近藤さんの「作り手ファースト」の姿勢が表れている。

「作り手ファースト」と同時に「俳優ファースト」

エージェントは、担当する俳優の仕事を獲得するのが仕事。だから一方的に売り込もうとするし、キャスティングもなるべく上位の番手(役柄の重要度)にしようとする。それが手柄になるのだから、当たり前の努力だ。しかし、近藤さんは一切そういうスタンスをとらない。

「それより、『この俳優をキャスティングすることで、その作品はよくなるだろうか?』を第一に考えています。その俳優のキャラクターや技量が役柄や作風に合っていなければ、せっかくいいオファーをいただいても断ることもあります。演技が未熟なのにいい番手で入れてしまうと、作品そのものを壊してしまいかねないし、俳優にとっても逆プロモーションになってしまいますから」

「鬼即レス」にも「怒涛のスケジュール公開作戦」にも、そこには近藤さんの「作り手ファースト」の姿勢が通底している。俳優のスケジュールを確認する時間と手間を極力省き、制作サイドに余計なストレスをかけない。だからこそ信頼され、キャスティングの相談が寄せられるのだ。

同時に「鬼即レス」や「怒涛のスケジュール公開作戦」は、「俳優ファースト」の姿勢の表れでもある。芸能界は「超」がつく競争の世界。その一瞬の判断の遅れで、大役のキャスティングを逃すことにもなりかねない。

「それこそ、先にキャスティングされていた俳優が何らかの事情で降板することも起こりえます。急に代役のオファーが来たときにこちらが即答できず、大きな仕事を逃してしまったら、その俳優の人生が変わってしまう。それくらい責任の重い仕事だと、つねに自覚しています。そう思えれば、即レスも、大量のスケジュールメールを送ることも、私にとっては当たり前のことなんです」

最近では、マネージャー同様に「裏方」である企業の広報担当が「私がこのテレビ番組の案件を仕込みました!」とSNSで発信する「キラキラ広報問題」が物議を醸した。だが、近藤さんはとことん裏方に徹し、地味な役回りをまっとうする(メディアに出るのも本記事が初めてだ)。その安心感こそ、彼女に若手俳優のエージェントの依頼が集まるゆえんなのだ。

(一部敬称略)

堀尾 大悟 ライター

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ほりお だいご / Daigo Horio

慶応大学卒。埼玉県庁、民間企業を経て2020年より会社員兼業ライターとして活動を開始。2023年に独立。「マネー現代」「NewsPicks」「新・公民連携最前線」などで執筆。ブックライターとしても活動。

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