町田啓太、鈴木伸之、岩田剛典… LDHの俳優陣を支える「女性エージェント」凡事徹底の営業術
また、映画やドラマなどのオファーは、スケジュールの確認・調整の段階では、作品の概要や役柄などキャスティングの詳細が明かされないことが多い。ただ、俳優を預かり、売り込むエージェントとしては、キャスティングの詳細は早く知りたいところ。その点、先にスケジュールを公開しておけば、プロデューサーの側も「この俳優にオファーできる」と安心感を得られるので、詳細を伝えやすくなるのだ。
近藤さんがこの「怒涛のスケジュール公開作戦」を始めたのは、2020年のコロナ禍の頃。テレビ局や制作会社を回っても、リモート勤務でプロデューサー不在の日が多くなった。「それならメールしかないか……」と半ば苦肉の策でもあったのだが、結果として「ちょうど○○さんが空いているか知りたかったんだよね」「実はこういう企画があって……」と、プロデューサーのほうから相談や依頼が舞い込むようになったのだ。
「マンガのドラマ化」と「キャスティング」をW提案
近藤さんの営業術で、唯一(といっては失礼だが)目を引く手法がある。
「このマンガなのですが、ドラマ化するなら主演はうちの鈴木がピッタリだと思うんです……」
ある日、近藤さんがテレビ局のプロデューサーに見せたのは、人気マンガ『自転車屋さんの高橋くん』(松虫あられ/リイド社)。このドラマ化を、LDHの看板俳優・鈴木伸之の主演というキャスティングごと提案したのだ。
はたして、近藤さんの企画は採用され、2022年に『自転車屋さんの高橋くん』(テレビ東京)はドラマ化。提案どおり、鈴木が主演を務めた。

「『マンガのドラマ化×キャスティング』の提案は、いつかやってみたかったんです。周りの社員や俳優にもオススメのマンガを聞いて回って、一時はAmazonの注文履歴がマンガで埋め尽くされました(笑)」
実はLDH在籍当時、近藤さんは同社の俳優グループ「劇団EXILE」の舞台のプロデューサーも手がけていた。つまり、近藤さん自身が「作り手」でもあるので、その立場から企画を提案することができるのだ。通常のマネージャーにはない、稀有なスキルといえるだろう。
「普段から、マンガだけでなく、小説や海外ドラマなどのコンテンツにはできるだけアンテナを張り、チェックするようにしています」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら