町田啓太、鈴木伸之、岩田剛典… LDHの俳優陣を支える「女性エージェント」凡事徹底の営業術

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エージェントやマネージャーの元には、テレビ局や制作会社のプロデューサーなどから「こんど新作のドラマを撮影するのですが、○○さん、この時期は空いていますか?」との問い合わせがたびたび寄せられる。まずはそのオファーに対して「必ずその場で回答できるようにしています」と近藤さんは言う。

「相手のプロデューサーからすると、『確認するので折り返します』といったん留保されると、テンションが下がるんです。その瞬間に『あ、それなら別の俳優にしようかな』と気が変わってしまう。そうならないよう、俳優のおおまかなスケジュールはつねに頭に入れておき、即答できるようにすることが大事なんです」

近藤さんの頭の中には、担当する30人余りの俳優の、1人ひとりのスケジュールがつねに入っていて、常時アップデートされている。だからこそ、「鬼即レス」が可能なのだ。一見簡単なようで、なかなかできることではない。

「俳優というのは、代わりはいくらでもいるものです。少しでも間を空けたら、その隙に仕事を取られてしまいます。本人のためにチャンスをつくるのがエージェントやマネージャーの仕事なのに、自分のせいでそのチャンスを潰していたら存在する意味がありません」

「怒涛のスケジュール公開作戦」で依頼が増えた

もう1つ、近藤さんの「凡事徹底」ぶりを象徴するのがメール術だ。

近藤さんはおよそ月1回のペースで、関係するテレビ局や制作会社にメールを送る。BCCの一斉メールでなく、400通前後のメールを1通ずつ、3~4日に分けて送るのだ。「喫茶店にこもり、コーヒー1杯で4時間粘りながらメールを書いています」と近藤さんは笑う。

その量もさることながら、特筆すべきは内容にある。

エージェントが送るメールの文面は、担当する俳優のプロフィールや、直近の出演作品などの売り込みが一般的だ。しかし、近藤さんのメールには売り込みの文面はほとんどない。あるのは、俳優の「空きスケジュール」だ。

「聞かれる前に、こちらから俳優のスケジュールを先に伝えておくんです。そうすれば、相手にとってはスケジュールを問い合わせるひと手間が省けますよね」

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