トランプによるウクライナ戦争の停戦交渉はなぜ失敗するのか、古典が示す世界で戦争が絶えない根本的な理由
しかし、平和を望まないものなどどこにもいないことも事実で、それは西洋も東洋も同じである。5月9日のロシアの勝利宣言が、BRICSという新しい権力の勝利宣言の日になるのかどうか、それはわからない。
「平和を実現するには世界共和国しかない」

しかし、すでに3年を超える戦争を止めることが誰にもできていないという悲惨な現実は変わっていない。しかもそれが欧州に飛び火し、世界を巻き込んだ大戦争になるかもしれないという、大きな火種にもなっているのだが、誰もそれを消すことができないというのは、いったいどういうことなのだろうか。
こんな状態に対し希望をもつためには、自らの平和論を理論家の空想だと規定しつつ、理論の持つ意味をわれわれに伝えた、あのカントの『永遠の平和のために』を今一度再読するべきときかもしれない。
カントは、こう断言している。戦争を避けるだけの国際法という概念などは意味がなく、平和を実現するには世界共和国しかないのだと。たとえそれが夢想(Imagine)に過ぎないとしても、今現在のわれわれの直面する世界にとって、それが一服の解毒剤となり、そこから解決方法が見いだせるかもしれないのだ。
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