「実はベストテン入りナシ」も、『木蘭の涙』など“愛され曲”多数…《スターダスト☆レビュー》が全世代から支持されている理由

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3年が経った今、「一生このままなのではないか」とまで思ったあの制限だらけの毎日は嘘のようである。今、スタレビのコンサートは、会場にぎっしりと観客が入り、大きな歓声と歌声が飛んでいる。

それでもきっと、旅の中断を余儀なくされたあの期間を、彼らは忘れない。

コール&レスポンスができる世の中が、けっして当たり前ではない。その感謝の思いが、新たな歌を生んでいる。

スタレビ
ようやくライブに観客の歓声と熱気が戻ってきた!(写真:三浦麻旅子)

次に挑むは「生成AIに創れない歌」

ツールは進化していくが、人のエネルギーがないと成り立たないものは必ずある。今回のアルバムのもう1つのテーマは「生成AIに創れない歌」だ。AIは本当に便利で、ヒントを入れれば、それなりの歌も作れてしまう。

そんな時代だからこそ、根本要は「俺なりのスタ☆レビに対するリスペクトを表さなきゃ」と思ったと、ツアーパンフレットに書いている。

ともにさまざまなことを乗り越えてきたメンバー、元メンバー、スタッフ、ファン、アーティストの仲間たち、亡くなった盟友など、これまでスタレビに関わってきた人すべてへの感謝と愛。それはAIどころか、他の誰にも書けない。それを思う本人にしか綴れない。

なにより、曲やツアーには思い出がついてくる。冒頭で「記録より記憶に残る」と書いたが、実は彼らは記録にもしっかりと残っている。

2001年に、デビュー20周年を記念して静岡県で開催した「つま恋100曲ライブ~日本全国味めぐり~お食事券付」では、なんと101曲を演奏し、スタレビは「24時間で最も多く演奏したバンド」としてギネス世界記録に認定されているのだ。

それでも根本要はあるインタビューで、このときのことを「曲数のギネス記録よりも、横浜・崎陽軒のお弁当を観客1万5000人と一緒に食べたことを記録に残したい」といったことを語っていた。私はこれを読んだとき、笑い、そして目頭がツンとくるような感動を覚えたものだ。

スタレビ
「生成AIには創れない歌」を生み出していく(写真:三浦麻旅子)

音楽の楽しさと価値は、楽曲のクオリティだけではなく、いろんな想いと思い出がくっついてこそ、輝くものなのかもしれない。

今後、AIがどれだけ進化しても、どうしても表現できないものがある。それは何か。スターダスト☆レビューのツアーを追っていれば見えてくる気がするのである。

今日もどこかの街で、このかけ声とともに、観客と一緒にその「何か」が生みだされている。

「さあ、老いも若きも一緒に踊って歌いましょう。みんなのパワーを送ってくれ!」

田中 稲 ライター

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たなか いね / Ine Tanaka

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人ではアイドル、昭和歌謡・ドラマ、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)、『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。

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