「同盟に近いパートナー」って何? 石破茂首相のフィリピン訪問で新聞各紙「準同盟」で足並みそろえるが、日本に有事の覚悟はあるか
日比間では近年、安全保障面での緊密化が急速に進んでいる。自衛隊とフィリピン国軍が共同訓練などで相互に訪問しやすくする「円滑化協定(RAA)」を2024年7月に署名した。
ACSAが締結されると、現場の部隊同士で食料や燃料、弾薬などの物資を融通し合う際の手続きが簡略化され、部隊間の連携がさらに深化するという。
三菱電機は2023年10月、フィリピン国軍に警戒管制レーダー1基を納入した。安倍晋三政権が2014年に武器禁輸政策を見直して防衛装備移転三原則を制定して以来、初の輸出案件だった。
契約では4基のレーダーを納入する。さらに同志国に防衛装備品などを無償で提供する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の枠組みで2年連続、フィリピン海軍に沿岸監視レーダーを供与する決定をした。
GSOMIAが締結されれば、将来的には南シナ海周辺でフィリピン国軍が得たレーダー情報を自衛隊も入手できるようになり、中国艦船や航空機の動きを把握するうえで大いに役立つと期待されている。
こうした協力関係の深化を踏まえた「同盟に近いパートナー」発言である。新聞やテレビが右から左まで判で押したように「準同盟」と表現するのは、おそらく外務省か防衛省のレクで使われた言葉だからと推測する。
台湾有事より切迫するフィリピン有事
南シナ海ではフィリピンの艦船が常日頃、国連海洋法条約を無視する中国の威圧に遭い、海警局の大型の艦艇に体当たりされたり、レーダー照射されたりしている。フィリピン側に負傷者も出ている。
同盟国アメリカのバイデン前政権は、南シナ海が米比相互防衛条約(MDT)の対象範囲に含まれると明言した。一方の中国はその言葉を試すようにこの海域で挑発を繰り返し、アメリカの出方を探っている。どこまでやればアメリカ軍が出てくるのか、と。
私が問いたいのは「フィリピン有事」となった時に「同盟に近いパートナー」あるいは「準同盟」の日本はどう対応するのか、ということだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら