「同盟に近いパートナー」って何? 石破茂首相のフィリピン訪問で新聞各紙「準同盟」で足並みそろえるが、日本に有事の覚悟はあるか

「今や日本とフィリピンは同盟に近いパートナーになった」
石破茂首相は2025年4月29日、訪問先のフィリピンで日比関係をそう表現した。ベトナムを経てフィリピンに向かう首相の外遊に日本の新聞・テレビ各社は例によって総理官邸や地元駐在の記者を多数送り込んだ。しかしこれまでのところ私が抱く疑問に答える記事や論評を目にしてはいない。
その疑問とは、「同盟に近いパートナー」とは、いったい何なんだ?
新聞はそろって東シナ海、南シナ海における中国の威圧に対抗するとの文脈で、「準同盟」と言葉を替えて日比関係を紹介している。「同盟」とは広義には国家がお互いの利益のために協力する体制のことだが、安全保障上であれば第三国から攻撃を受けた際には相互に支援する関係を指す。
それでは「準同盟」とは何か。「同盟に近いパートナー」は「同盟」とどう違うのか。有事の際にどのように助け合うのか。
新聞が一斉に使う「準同盟」
石破首相とマルコス大統領の首脳会談では、トランプ関税など経済についても議題に上ったが、最重要のテーマは安全保障だった。
両首脳は軍事情報共有の円滑化をめざす軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の早期締結の方針を確認するとともに、自衛隊とフィリピン国軍との間で物資を融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)締結に向けた交渉開始でも合意した。
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