職場に潜む「過去の栄光マウント」聞き流すための大人の対処法とは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

幸せな結婚生活を送っている女性に対して、羨望、つまり他人の幸福が我慢できない怒りを抱かずにはいられないが、自身の胸中に羨望が潜んでいることを決して認められない。いや、認めたくない。なぜならば、羨望を認めることは、羨望の対象よりも自分が劣っているという認識につながるからだ。だからこそ、自分だって幸せな結婚生活を送っていた時期があるし、若い頃は引く手あまただったと吹聴するのだろう。

裏を返せば、現在の自分がパッとせず、欲求不満を抱いているからこそ、過去の自分がどれほど輝いていたかを自慢したがるともいえる。現在、仕事で活躍し、私生活も充実していれば、承認欲求が満たされているので、過去の栄光を持ち出す必要など微塵も感じないはずだ。

冷水を浴びせるような発言はNG

過去の栄光を持ち出してマウントを取る人に決してやってはいけない禁忌は、冷水を浴びせるような発言である。

冒頭で取り上げた老先生があるとき医師会の会合で、いつものように自慢話を始めたのだが、何かの拍子に旧世代の抗生物質を患者さんに投与していることをしゃべってしまったらしい。そのため、若い男性医師から「そんな古くさい薬、耐性菌ができているから、効かないんじゃないですか」と指摘された。すると、老先生は、「お前みたいな若造に何がわかるか。わしは、感染症が猛威をふるっていた時代を知っとるんじゃ」と激怒したとか。

その抗生物質は、何十年か前であれば効力を発揮したかもしれないが、現在では、耐性菌が出現しているので、ほとんど使用されていない代物だ。それをいまだに処方し続けているのは、ある時点で新しい医学知識の吸収が止まってしまったせいだろう。この現実を直視できず、過去の栄光にしがみつき続ける老先生に向かって、本当のことを言ってはいけない。ここはぐっと堪え、無言を貫くべきだった。

この辺りの機微を、超名門私立校の出身でモテたと自慢する女性上司の周囲は心得ていたように見える。この上司の大学時代の写真を見てみな口々に称賛したそうだが、これは正直な感想を口にしたら彼女の逆鱗に触れることが容易に想定できたからだろう。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事