「30代から要注意」健康診断でも見逃されやすい”隠れ脂肪肝”→肝機能悪化を防ぐために注意しておくべきこと

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では、脂肪肝を見逃すことなく防いでいくには、いったいどうすればいいのでしょうか。

みなさんご存じのように、肝臓は「沈黙の臓器」です。脂肪肝もご多分に漏れず、かなり肝細胞の脂肪化が進んでいたとしても、症状らしい症状はなにひとつ現われません。

そのため、「自分が脂肪肝になっているかどうか」「脂肪肝がどれくらい進行しているか」を知るには、健康診断などの血液検査で調べた肝機能の数値をもとに判断することになります。

なかでも脂肪肝かどうかを判断するのに重要な検査値がALT(GPT)です。ALTは肝細胞内に含まれる酵素で、脂肪肝などの肝障害があると血液中にあふれ出ます。検査結果のALTの数値が高いときは、現在進行形で肝臓の細胞が壊れている証拠と考えていいでしょう。

ALTの基準値は10~30U/Lとされていて、日本肝臓学会は2023年の奈良の学会において「ALTが30を超えたら、かかりつけ医を受診してほしい」という提案を盛り込んだ宣言(奈良宣言)を発表しています。

みなさんもお手元の健康診断の結果表を見直してみてください。きっと、ALTがすでに「30超え」になっている方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

すでに脂肪肝に片足を突っ込んでいる状態

もっとも私は、学会よりも基準ラインを低く設定していて、ALT5~16U/Lを「理想値」としています。そのうえで、ALTが20~30の場合は、「隠れ脂肪肝の疑いアリ」としています。

なぜこうしたラインを設けたのかというと、長年にわたって肝臓の検査データを見てきて、ALTが10台の後半でもわずかながら脂肪蓄積が見られ、ALTが20を超えるともう「軽度の脂肪肝」と言っていいくらいの脂肪蓄積が見られることが分かっているからです。

つまり、ALTが学会基準値の30以下であったとしても、20以上であれば決して安心できるような状態ではないということ。みなさんも、ALTが20を超えていたら、すでに「隠れ脂肪肝」であり、もう脂肪肝に片足を突っ込んでいるようなものと思っておくほうがいいでしょう。

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